43回裏 ページ38
やって参りました、部活対抗リレー
我が野球部も例に漏れず、選抜メンバーで出走します
わざわざ上だけ練習着を着て集合場所へと集まる
「一走目は倉持、次に成宮、俺を挟んで小鳥遊、アンカーはキャプテンの哲」
「ヒャハ！速攻でお前に渡してやっからな！」
「なぜ、本当になぜ男子野球部に紛れているのだろうか」
「なに、文句あんの？俺の前を走れるんだから光栄に思いなよ、ヘマしたらタダじゃおかないよ」
「任せて下さい亮さん！」
「変わり身はえーなおい」
「俺の方が小湊先輩の後なんで荷が重いですよ」
「小鳥遊も倉持に負けず速いからな、期待しているぞ」
「結城先輩！俺頑張ります！」
倉持がタスキを掛け、哲さんはアンカー用の青のベストを着て円陣を組む
「成宮、なんか言って」
「えぇ！？こういうのはキャプテンの哲さんじゃ！」
「おもしれー女の方が気合い入るでしょ」
「…それ気に入ってんすか？」
亮さんに「早く」と急かされ、咳払いをしてみんなを見る
すると哲さんが少し微笑んで頷いた
仕方ないなぁ！
「やるからには勝ーーーつ！！！」
「「「「オー！！」」」」
『野球部、気合が入っております！他の部も頑張って下さい！』
ピストルの音が鳴る
その音と同時に倉持がスタートを切った
『野球部早いです！陸上部も負けていません！バスケ部とサッカー部、剣道部は頑張って下さい！」
一走者目とアンカーだけ一周、その他は半周を走ることになっている
まぁ、トップスピードなら倉持は陸上部にも負けない
『野球部は今、二走者目にタスキが渡りました！』
「おらいけ！成宮ぁ！」
「まっかせろ！」
一番に二番手を走り出す私に、陸上部は少し焦った様子だった
"走る"という事に関して負けられないプライドがそちらにもあるとは思うが、私もミスは出来ない
「(なんせ私の次は…！)」
全力で走り、先に見えた目立つピンク髪を捉える
「亮さん！！」
「上出来」
私からタスキを受け取り駆け出す後ろ姿を見届ける
亮さんに褒められた！
応援席の野球部の歓声が聞こえる、めちゃくちゃでけーあの声は純さんと東さんだな
その後順調に一位をキープしてアンカーの哲さんにタスキが渡る
「哲さーん！！いけー！！」
「哲いけゴラァ！！！」
「結城先ぱーい！！」
ゴールテープを真っ先に切ったのは、よくホームベースを踏む時に見えるあの背中だった
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
