41回裏 ページ34
ゲート前で待機していると私の二列前にゾノのクラスの一也ファンが並んでいることに気がつく
うわぁ、絡まれませんよーにと心の中で手を合わせているとバチリ、目が合った
「……」
「…」
やべ、と思ったのも束の間、暫く私を見た後ふいっと顔を逸らされた
「(あれ、まあ競技の前だし突っかかっては来ないか)」
そんなことを考えていると一列目がスタートした
私は五列目だし、どんなお題が出るか様子見しますか
『発表します！…なんと"旦那にしたい人"！！おお！！皆さん拍手をお願いします！！』
「「「おおお！！！」」」
ここは地獄か？
三列前の女子がどう考えても地獄に巻き込まれている
まって、そんなお題あるの？怖すぎだろ誰だよ入れたの
顔が引き攣りながらも次の走者がピストルの音と共に走り出す、その中には例の女もいた
その子はお題を取ると少し固まった後キョロキョロ、と辺りを見渡して誰かを見つけたのか走り出す
「(あ、もしかして)」
私の予想は見事的中、彼女は私のクラスの応援席にまで駆けて行くと一也に声をかけていた
雅が呆れた顔をしているのは多分、前に私に絡んだ奴だと気が付いたからだろう
……面白くない、別に一也が誰に借りられようと関係は無いはずなのに、非常に面白くない
なんだこのモヤモヤは、と思い無意識に目を逸らす
気が付くと彼女は一人で別の人の所に行っていた
あれ、一也断ったんだ
なぜだか少し気持ちが軽くなった
「み、御幸くん！」
「……なに？」
「えっと、借人、一緒に来てくれない……？」
「内容は？」
「ぇ、」
「だから内容」
「…………か…こいいと、思う人」
「ふーん、わりぃけど他当たって」
「え」
「うわ、御幸内容聞いといてえげつな」
「だってそういう内容のもんまだ残ってるってことだろ？」
「やから？」
「Aの為に俺が借りられるわけにはいかねーだろ」
「あんたも大概Aのこと好きやな、…かわいそーやけどこんな奴やめとき！他の奴のが100倍かっこええで！」
「……っ、」
「あーあ、泣かしたー」
「Aの腕を雑に扱う奴とは仲良くなれねー」
「A、ちゃう人借りひんかなぁ」
「お前は大概俺に酷くね？」
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
