37回表 ページ25
野球部の厳しい合宿が終わったらしい
あの体力お化けみたいなAですら流石に屍のような顔をしていた
そして野球部の合宿が終わったっということは…
「それじゃあ北條さん、よろしくね」
「任せといて下さい！」
昼休みに部長に呼び出されたウチはある用紙を片手に教室まで戻る
自分のことやないけど、ワクワクするのはよく見知った人間のやから
「ってわけで、御幸のヒッティングマーチ考えてや、A！」
「なんで私？」
「普通本人に聞かね？」
「あんたどうせAに任せるやろ？」
「なんで分かんだよ」
「えぇ、ほんとにぃ？」
バンッと机に貰った紙を叩きつけて二人に見せる
思った通り御幸は元々Aに任せる予定だったみたいでウチの言葉に驚いた顔をしていた、大体分かるわアホ
「A、なんか使いたかったのとかねーのかよ」
「……ある」
「じゃあそれにしようぜ」
「ほ、ほんとにそれでいいの？三年間それになるよ？」
「構わねーよ、そもそもお前の三年間俺が貰ったし」
「うぐぅ、それはそうだけどぉ」
「ええやん好きなん言いな、あ、被ってたら流石にあかんけど」
「うぇ〜〜〜〜」
「…何が不満なんだよ」
御幸が拗ねた様な顔で聞けば「不満とかじゃ、ないんだけど」と珍しくしどろもどろになってるAがちょっとおもろい、こいつ御幸のこの顔に弱すぎやろ
「あ、じゃあさ、一也も使いたいのせーので言おう！」
「えー、まあいいけど」
「それじゃいくでー、せーの」
「「狙いうち」」
「…あんたらなんなん？結婚したら？」
「私初めて一也に運命感じたかも」
「これまで結構こういう場面あった気がするけど？」
まさかここまで揃うとは思わんかったわ
兎も角、これならAもこれ以上うだうだ言わずに決まったな
ウチは問答無用で部長から預かった用紙の記入欄に"御幸一也 狙いうち"と書き込んだ
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
