35回表 ページ21
俺には可愛い従兄妹がいる
二ヶ月俺の方が早く生まれただけだけど、妹の様に可愛がってきた
そんな従兄妹も俺の事が大好きで、俺が野球を始めると自分もやると言って別のリトルに入った
俺は勿論一番かっこいい投手を希望した
そんな俺は野球のセンスの塊だったのか、入って早々天才だと持て囃された
それは俺の従兄妹も同じだった様で、俺とは違いキャッチャーというピッチャーの女房役を希望してその才能を幼いながら開花させた
シニアに上がる頃には俺たち二人の名前は東京では有名になっていて練習試合で初の対決となるとシニア雑誌やネット記者たちはこぞって俺たちの試合を見に来た
そんなある日俺はAと同じ位すごいと思えるキャッチャーに出会った
名は御幸一也、出会った頃は俺も一也も身長は低かったけど、中学三年ともなるとお互い伸びて体格も変わっていた
そんな一也を俺は自分が行く稲実へと誘った
Aが男だったら絶対Aを誘ってた、まあこの間振られたばっかなんだけど
すごいメンツを集めて俺たちの世代最強チームを作ろう、そう提案した俺に一也は笑って断りの言葉を放った
ムカつく！俺たちと戦いたいと言って俺を振った一也も！俺に甲子園に連れて行って欲しくないと言ったAも！
…ムカつくけどAは今でも可愛い俺の妹だし、Aと違う高校に進学した俺は可愛い従兄妹に変な虫が付いていないか常に不安だった
「そういえば鳴、Aちゃん元気かよ」
「なにカルロ、Aはあげないよ」
「お前のもんじゃねーだろ」
確かに最近話してないな、とジャージのポケットに入った携帯を取り出して見慣れた名前をタップする
プルル、と鳴った音に変に緊張する
たかが数ヶ月、寮に入ってから連絡を取っていなかっただけ
今更何かが変わるわけではないのに
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
