34回裏 ページ20
その後結局浮いた甘い球を外野まで運ばれドヤ顔されてしまう
うーん、川上いい球持ってるからもっと育てよう
下手したら秋からはベンチ入り出来るかもな、なんて思いながら川上に向かって「いい球来てるよー」と声を掛ける
クリーンナップにもボコボコに打たれたが川上は負けじと私のリードについてきた、こいつ意外とやるじゃん
「お前ほんとえげつなく強気なリードするな」
「一也には4回も三振取ったしね」
前半の練習が終わりマネージャー達がドリンクとタオルを運んできてくれたので休憩に入ると、一也が我が物顔で横に座った
「ほんと、えげつねーリードだよ」
「打率ムラありすぎ、今の打順的に毎回塁に出てるわけじゃないんだから一人でも打てるようになろうね〜」
「めちゃくちゃムカつくのに言い返せねぇのが更にムカつく」
「拗ねてる一也が今の所私の中での流行りだよ」
「どんな流行りだよ！」
いやだって、拗ねて口がちょっと出てる一也めちゃくちゃ可愛いよ？
顔がいいってホントどんな顔でもよく見えるよね、自分の顔でよく知ってるよ
そんなことを心の中で思っていると拗ねた私の流行り顔から「あ」と何かを思い出したという顔をした
すると近かった距離を更に寄せて顔を私の耳元まで持ってきた
「あの女子の集団、来てるらしーぜ」
「…なに、練習中に私以外見てたわけ？」
一也がコソッと耳打ちしてきた内容に、私の機嫌は急降下する
は？この私がキャッチャーボックスに座っているにも関わらず他に余所見してたわけ？そんな暇あんの？
「どんな嫉妬の仕方だよ」
「野球やってる時に他人見られるの嫌い、私のプレイだけ全部見て全部盗め」
「…ゾノが言ってたんだよ」
「ふーん、ならいいや」
「他見たら怒んの？」
「キャッチャーボックスに座った私以外、見る価値あんの？」
「ほんと、どんな嫉妬の仕方だよ」
ゾノが見付けて一也に伝えたくらいならいーや、別に一也が余所見してたわけじゃないしね、とあからさまに機嫌が治るのを見て「お前が野球バカな事しか分からねー」と嘆かれた、なんでだよ
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
