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困惑を通り越し混乱状態の頭の中をいったん落ち着かせようと
おれはウィスキーを喉に流し込んだ
すると突然おかしな考えがポンと浮かんだ
おれの隣りで飲んでるコイツはいい男だし完璧におれのタイプだ
だけど多分、コイツはこの星の住人じゃない
多分というか絶対、よその星からやって来た調子のいい宇宙人なんだ
きっとそう、間違いない
それにそもそも宇宙人に会うコト自体珍しいのに、どういう訳かコイツは
おれのこと気に入って人間みたいに誘ってくる
なかなかスゴい体験してるよな、おれ…
こんな馬鹿げた考えが浮かぶこと自体、普段のおれとは違う気がするけれど
そんな自分を面白がっている自分がいるのも確かで
おれとは全く違う思考回路を持つコイツに興味が湧いているのも確かで
いつもは胸の奥底で鳴りを潜めている“悪戯な心“がここぞとばかりに騒ぎ出し
今おれを違う世界にひっぱり出そうとしている
ーどうする?…おれ
グラスの氷を眺めながら考え込んでいたら宇宙人がおれの顔を覗き込んだ
「どうする?」
自信満々な宇宙人の瞳が至近距離からおれを射抜いた
参ったな、仕方ない、
一杯だけ付きあうとしよう
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宇宙人は話し上手で一緒に飲むのは楽しかった
やつは愉快な話で何度もおれを笑わせ
たまに色っぽい目をしておれを口説いた
おれはやつを“ヤブ“と呼びやつはおれを“ヒカル“と呼んだ
2杯目のグラスが空になりそうな頃ヤブが耳元で囁いた
「ヒカル…出よう」
一瞬ヤブのうすい唇が耳たぶに触れた気がして背中がふるりと震えた
カァッと全身が熱くなる
頬に感じたヤブの吐息がおれの理性を完成に吹き消した
もうおれは頷くことしか出来なかった
酒に酔っているのかヤブに酔っているのか分からないまま店を出て
気が付けばホテルの一室で服を脱がせ合っていた
おれたちはホテルの床に何もかもを脱ぎ捨てて
抱き合ったままベットの海へ飛び込んだ
どこまで沈んでも足がつかない深い海のなかでおれたちは自由になった
ヤブはおれの秘密の場所を何度も何度もつらぬいては
おれの腰を揺さぶり続け
おれはヤブのモノを精いっぱい咥え込んでは
ヤブの全部をヘトヘトになるまで吸い取った
夜明け前、ヤブはおれを胸に抱き髪を撫でながら優しく言った
ーー「やっぱり、相性最高だったろう?」
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作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時