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「ひかるといいます」
ひかると名乗る男はにっこり微笑むとごく自然に俺の手を取り店の奥まで案内していく。
俺は雲の上でも歩いてるような気分で勧められるまま大きなソファに座った。
テーブルに酒の用意をするとひかるは俺の隣りに腰掛け慣れた手つきでもてなしだした。
ひかると目が合ったり話しかけられたりするたび俺の胸はドクドクと騒ぎ出し
身体が熱くなっていく。いい歳した大人が何浮ついてるんだよ。
さすがに恥ずかしくなり俺は目の前の酒をいっきに飲み干した。
それでも熱はおさまらない。
隣りにはやけに色っぽい好みの男、それも太腿が触れそうなほど近い。
おっとりした喋り方が可愛いし、めちゃくちゃいい匂いするし。
なんだこのときめく感じは、この高揚感は…。
「やぶさんってカッコいい……。ほら､僕こんなにドキってしてるよ」
ひかるは耳たぶにキスするように囁くと俺の手のひらを自分の胸へ押し当てた。
同時に俺の理性は光の速さで地球の裏側まで飛んで行った。
理性を失った俺はたぶん獣だ。本能のまま飛びかかるやつ。
もう誰にも止められない。
俺はひかるを押し倒し剥ぐようにして服を脱がせた。
抵抗しないひかるを一糸まとわぬ姿にして舐めるように上から眺めると
ひかるはうるうるの瞳で見上げ、艶めかしい表情でスラリとした脚をひろげた。
どう見ても誘ってるようにしか見えない。イヤ､これは誘ってる。
俺のムスコが素直に反応しだす。
やっば、我慢できない。
俺はひかるに飛びつきしゃぶりつくようにキスをした。
目が覚めると俺は自宅のベッドの上だった。ひかるの姿はどこにもない。
アレは夢だったのか。いや、そんなはずない。
ぷっくりと赤く膨らんだ飾りを転がした舌にも
細い腰を限界まで引き寄せた両手にも
秘密の蕾に打ち込んだコイツにも
こんなにもはっきり感触が残っている。
「ひかる……」
俺は部屋を飛び出すとあの店を探し回った。
だけどどこを探しても店は夢のように消えてしまっていた。
あれから1年が経った。
今もあの店は見つからない。
友人にこの話をしても「すげーな。俺もそんな夢見てみてー」って笑われるだけだ。
「まぁな」ってうすく笑って誤魔化す俺だけど。
だけど…、
“アレは夢なんかじゃない…“
俺はバスを降りるたびいまだにあの黒ねこの姿を探している。
♥︎Fin♥︎
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作者名：べす | 作成日時：2022年7月12日 20時
