□銀河鉄道の夜□ ページ37
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カーテンから漏れる光が眩しい…。まだ眠いし起きたくないな…。
おれは二度寝を決め込むと愛用の抱き枕に脚を巻きつけ顔を埋めた。
あぁこの枕抱き心地最高だな…。ちょっと角張ってるけどこの人肌が気持ちいい〜
ん?人肌??…ちょっと待て、おれは何を抱きしめてるんだ?
ゆっくり顔を上げてみれば目の前には見覚えのあり過ぎる顔、……まさかのやぶだ。
なんとおれはやぶの身体に抱きつき脚まで巻きつけていた。
えっ?ええっ?
急いで目をつむり頼むから夢であってくれと念じながら恐る恐る目を開ける。でも
やっぱり状況は変わらない。相変わらずおれはやぶをがっちりホールドしている。
ひとまずこの体勢をなんとかしなきゃと巻きつけている脚を戻そうとした。
だけどこんな密着してるのに相手に気づかれないなんて無理な話で
脚を動かそうとした途端やぶがパチリと目を開けた。
抱きついたままの近さで目が合った。
身体じゅうの熱が顔に集まってくるのが自分でもわかる。
「おはよう ひかる」
「おはようじゃないッ、なんでおまえがここにいんの?」
「なーんだ、ひかる ゆうべのこと覚えてないの?」
「ゆうべのことって…なんだよ…」
慌てて記憶を辿ろうとするが一緒に飲んでたこと以外すっぽり抜け落ちてて思い出せない。
動揺するおれを楽しむようにやぶは口もとに笑みを浮かべおれの頰に触れた。
「可愛かったよ」
「………………」
えっ?そういう事?おれたちやっちゃった?
決して嫌なワケじゃない。
だけどおれたちただのメンバーじゃなくなるんだよ。
やぶはそれでもいいの?
思わぬ展開におれは完全にフリーズしてしまった。
「あー俺、仕事あるからもう行くわ」
ベッドから起き上がったやぶは素っ裸で立派な一物をぶらぶらさせている。
やっぱそういう事したんだ、おれたち…。
目が点になっているおれをよそに服を身につけ終えたやぶが余裕の表情でおれを見据えた。
「嘘だよ、嘘。ゆうべはなんも起きなかった。お前の服脱がせて隣で寝ただけ。
手は出してない。だけどひかる…お前ホント騙されやすいな。気をつけろよ」
やぶの顔が少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか…。
それに“それはそれで少し残念“と思ってしまったおれがいる。
「やぶ、…今夜もうちに来て」
思わずやぶの後ろ姿に声を掛けていた。
するとやぶは目を細めきっぱり言った。
「言っとくが今夜は我慢出来ねえぞ」
♥︎fin♥︎
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作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時