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粉雪が舞うなか、俺たちは
住み慣れた町の車も通らないような細い路地裏を
肩を並べてただただ歩いた
しばらく行くと小さな公園が見えてきた
ペンキの剥げかけたブランコと鉄棒があるだけの
時代に取り残されたような寂れた公園だ
立ち寄ってみると真夜中の公園は予想通り人影もなくて
地面は雪で白くなり始めていた
脇に植えられた椿もうっすら雪化粧している
何を思ったのか
ひかるは突然その枝を掴んで限界まで引っ張った
そしてすぐさまその手をパッと離した
ーーパシャーー
枝が勢いよく戻り、反動で積もっていた雪が
そこらじゅうに飛び散った
ボケっとしていた俺の顔にも
冷たい雪が水しぶきのように飛んで来た
「ヒェッ」
確信犯のひかるはちゃっかりそこから離れてて
慌てて払う俺を見てケタケタと楽しげに笑い出した
雪の積もった地面をニョロニョロと蛇行しては笑い
ついた靴跡を振り返って見ては笑うひかる
鉄棒に積もった雪を指でツーっと落としていくひかる
今夜のひかるはまるで夢中で遊ぶ子どもみたいだ
*
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作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時