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好きだって伝えたい
でもな､いきなり言葉にするのはハードルが高すぎるかも…
アー､もうどんだけヘタレなんだ、しっかりしろ俺ッ
口で言えないんだったら行動で表すしかないじゃん
俺はタイミングを計りひかるの手を捕まえると両手でがっしり包み込んだ
でもこれだけじゃダメ
好きだって伝えるにはーー もうこれしかない
俺は包み込んだひかるの手を口元に近づけた
そして気持ちを込めてひかるの手のひらにキスをした
“ひかる好きだよ“
心の中で何回も唱えながら…
どうか伝わってくれと願いながら…
俺の気持ちは伝わったかな？
掴んだその手はそのままに俺は恐る恐る目を開けた
真上にはひかるの泣きそうな顔
アーモンド形の大きな目には水の幕が満々と張っていて
今にもそこからこぼれて来そうだ
ひかる…､なんて顔してるんだよ
普段デリカシーがないって言われてる俺だけど
ひかるがこんな不安げな表情になってしまうのは
やっぱり俺に原因があるんだって事は分かるし
俺の煮え切らない態度とか思い当たる節がありすぎるし
だけど､もう大丈夫だよって伝えたくて
柔らかな頬に手を伸ばしたら
ひかるの目からポロリと大粒の涙が落ちてきた
月のしずくみたいな綺麗な涙だった
「ひかる…」って
かすれた声で名前を呼ぶと
堰を切ったようにひかるの目から涙があふれ出して
ひかるの顔がぐちゃぐちゃになっていく
あぁゴメン、今までホントごめんな
そんなに泣くなよ…
俺は起き上がると声も出さずに泣くひかるを力いっぱい抱きしめた
静かな車内
ふたりきりの世界
言葉は交わさないけれど
繋いだ手の温もりとか
触れ合う肩の心地よさとか
もう二度と手放したくなくて
きっと俺たちは今から変われるよなって
お月さんを見ながら思ったんだ
** **
「薮君､ひかる君起きて、着いたよ」
高木の声で目が覚めた
俺の肩に頭をのせて寝ていたひかるも今起きたらしい
同時に顔を見合わせたらあまりの顔の近さにふたりして照れ笑い
ひかる柔らかい…、夢じゃなかった
メンバーはすでに車から降りていて俺たちだけ取り残されている
さては俺とひかるの寝姿見られちまったかな……けど
今さら隠す気もねぇしな
車を降りると俺は早速メンバーに取り囲まれた
そしてあとに続いて降りたひかるが
頬を赤くしながらも俺から離れずにいる様子を見て
みなが一斉にニヤつき始める
**
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作者名：べす | 作成日時：2022年7月12日 20時
