やぶとひかると恋ほたる (ページ21)

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□ 月の雫が落ちた夜 □ ページ21

＊＊『月に魔法をかけられて』の続編です

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ひかるは俺だけのもの
お月さんに盗られたくないーー

衝動のままひかるの膝を占領した俺にひかるはどんな反応するだろうか？

90％以上の確率で俺は力づくで起こされ文句を浴びるだろうけど
まぁそれは覚悟の上だし……、

それより､たとえほんのひと時でも
ひかるをじかに感じることが出来るこの膝枕ってのは最高だと思うし
こんな大胆なこと出来た俺ってある意味貴重だから
このあとひかるに頭をはたかれようが俺は結構満足だ

などと考える俺はやっぱり
ひねくれ者でわがままでそしてヘタレだ

車窓から降り注ぐ月明かりは目を閉じていても神々しくて
俺はお月さんの不思議なパワーを感じながら
ひかるのリアクションを待っていた

だけど何分経っても何も起こらない
あれっ､ひかるどうした？怒んないのか？

目を閉じたまま気配を探る
すると､どことなく
ひかるから伝わる雰囲気が変わったような気がした

ひかる本来のふわっとした柔らかさが戻ってきた感じ？

何が起こっているのか目を開けて確かめたいところだけど
それをしてしまえばすべてが台無しになるーー
ただのカンなんだけどそんな気がして俺はじっとしていた

しばらくすると俺の頭に何かが触れた
なんだろう？ーー

えっ、ちょっと待て
俺って今､ひかるに髪を撫でられてんの？
嘘だろ…、

あまりの驚きに一瞬夢かとも思ったんだけど
頭に感じるリアルな重みはどう考えても夢じゃない
俺､ひかるによしよしされてる！
そのうち俺はすげぇしあわせな気持ちになった

だってこんなの久しぶり
俺は今すぐこの目で確かめたいという衝動をこらえ
ひかるのよしよしを全身全霊で味わった

目を閉じていると神経が研ぎ澄まされ
返って敏感に色んなこと感じ取れるって本当なんだな

俺を撫でるひかるの手の動きはすごく繊細で優しくて
なんだかものすごく俺のこと大切に思ってくれてる感じがして…
愛しさと切なさと後ろめたさで鼻の奥がツンとしてくる

俺ってほんとダサい

泣けてくるくらいひかるが好きなのに
言葉ではひとつも伝えられなくて
そのくせ構ってほしくて変な絡み方して呆れられて
それでも俺だけを見ていてほしいってワガママ発動して

でももうそろそろちゃんとしなきゃな

＊