□ 俺だけを見て □ ページ18
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□□リアル風ybhk □□
☆両片想い状態です☆
**hk
今日はメンバー揃ってのMV撮影日だった
朝早く出発して1日がかりの撮影を終え今は帰りのロケ車の中
ロケ先の海岸ではしゃぎ過ぎて疲れたのか
みんな電池が切れたみたいに静かだ
おれもいちばん後ろのシートに座ってぼんやりしている
隣りは誰もいない
ひとつ前のシートにはやぶとゆうとが座っていて
基本騒がしい大型犬コンビも今は静かだ
外はすっかり暗くなって窓ガラスには自分の顔が映っている
窓に顔を寄せて外を覗くと夜空に大きな月が浮かんでいた
月はおれたちにピタリとついて来る
ロケ車と並んで走っているみたいだ
見上げるほどの鉄塔も遠くに見える山もどんどん小さくなっていくのに
月はちっとも離れていかない
不思議だなぁ、面白いなぁって思いながら
おれは窓に張りついて月を眺めていた
**yb
あ〜ぁ､今日は久しぶりにひかると会えたのにあんまりいい絡みがなかったな
ロケ地から都内へ戻る車の中で俺はひとり反省会だ
車内は静かでメンバーの大半はうつらうつらしてる
たまたま隣りになったゆうとも顔を窓に向けたまま動かない
俺はペットボトルを探すフリして後ろのシートをさりげなく見た
いた､ひかるだ
ひかるは背もたれから体を起こして外を見ていた
寝顔でも見てやろうと思ったのにな
しばらくしてもう一度こっそり振り返る
ひかるはまだ窓の外を見ていた
そのあともそのあともひかるは張りつくようにして窓から空を眺めている
いったい何見てんだよ
気になって仕方ない
俺は頭を低くしてゆうと越しに外を見た
車窓には流れてゆく景色と夜空に浮かぶお月さん
そうか､ひかるはこれを見てんのか
今度はこっそりとじゃなく堂々と後ろを振り返った
それでもひかるは俺に気づかず夜空を見上げている
なんか悔しい
なんかムカムカする
お月さんにひかるを盗られた感じだ
お月さんに嫉妬してもしょうがないけど
やっぱ嫌だ
俺は腰を上げるとひとつ後ろに移動した
それからそのまま倒れ込むかたちでひかるの膝に頭を乗せた
ひかるは驚いて月見を中断した
そして真上から俺を見ている
よし､ひかる奪還成功だ
「ちょっと膝貸して」
ぶっきらぼうに放ったセリフは笑えるくらい唐突で……
だけど今の俺はこれで精いっぱい
“月ばっか見てないで俺を見てよ“
ホントの気持ちはまだ言えそうにない
＊＊Fin＊＊
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作者名：べす | 作成日時：2022年7月12日 20時
