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アパートの敷地内の隅っこで隠れるようにしゃがみ込み

男ふたりで手持ち花火なんてなかなかシュールだ

初めはふたりでクスクス笑いあっていた

なのにどういう訳かやぶは急に黙り込み次第に表情も硬くなってしまった


何か言い出しづらいことでもあるんだろうか…

最後の1本になった線香花火を手におれは悪い予感しかない



「ひかる…、話があるんだ…」



えっ、もしかして別れ話?

この線香花火が終わったらおれたちも終わるの?

ちょっと待って…、おれ、嫌だよ…

ダメだ…動揺して手が震えてきた



「俺たち、一緒に暮らさないか…?」



ぷくぷくと膨れあがったオレンジ色の火の玉がポタリと地面に落ちていった

辺りはシンと静まり返っている



なんか言わなきゃ…おれ… 、でも声が出て来ない

でもこの気持ち伝えたい

伝えなくちゃ……、伝えなくちゃ…



暗闇のなかを探るようにおれは両手を伸ばした

そしてやぶの頬をつかまえると指先でやぶの唇に触れた

やぶは息を詰めたまま動かない


おれはゆっくりやぶに顔を近づけると自分の唇をやぶの唇にフワリとかぶせた

そして喰むようにしてやぶの唇を押し開き

そこから熱い吐息をやぶの身体に流し込んだ



やぶは今、絶対目を白黒させているはず

だっておれが外でこんなことするなんてあり得ないよな

思いもしないよな



でもそれが出来ちゃうくらい

おれ、おまえの言葉がうれしくてたまんないだよ



なぁやぶ

わかってる?


このkissがおれの答えだよ






** Fin ** 22-09-22

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作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時

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