検索窓
今日:36 hit、昨日:4 hit、合計:14,868 hit

□ Kiss diary□ ページ13

**
□□社会人yb x hk□□



**hk


夏真っ盛りの日曜日

ギラギラ元気だった太陽が名残惜しそうに沈んでいった

オレンジ色だった空もいつの間にか真っ暗だ

待ち人は来ないみたいだし腹も減ってきた

そろそろ晩飯にしようかな

俺は立ちあがると冷蔵庫から鍋を取り出しテーブルの真ん中に置いた


鍋の中身は冷え冷えの冷やしおでん

昨日のうちから仕込んでおいたやつだ

キンと冷えた煮汁をスプーンでひと口

うん、うまい

ホントはやぶに食べさせたかったけれど

あいつ、ここのところめちゃくちゃ忙しそうで

おでんぐらいで疲れたあいつを呼び出すのも気がひける

休養は大事だ

おれなら大丈夫

これくらい我慢できるし…


そんなことを考えながらだしの染みたはんぺんを噛み締めていると

ドン、ドンと遠くで花火を打ち上げる音が聞こえてきた


恒例の花火大会がはじまったらしい

缶ビール片手にベランダに出てみる

分かっていたけどここからじゃ花火のカケラも見えやしない

しばらく真っ黒な夜空を見上げていたら

何故だかふと、やぶの顔が浮かんできた


あいつと付き合いはじめたのは大学2年の夏

あの花火大会がきっかけだった

その関係は社会人になった今でもなんとなく続いている


あれから何年経ったかな?


目を閉じるとコマ切れの映像がまぶたの裏に映し出される

点滅してる青信号とか

やぶに掴まれたままのおれの右手とか

ド○○キしながら見上げたハート形の花火とか

こっそり盗み見たやぶの横顔とか…


何年も前の思い出なんて知らないうちにほつれたり汚れたり

どんどん色褪せていくはずなのに、おれの中の思い出は

今でもバカみたいに鮮明で綺麗なまま保存されている




だけど…、あいつはどうだろう?

あいつにしてみればあの日の出来事なんて

今じゃ大して意味のないガラクタに変わっているのかも知れない

あいつはもうおれのこと飽きてしまったかも…なんて

いつの間にかネガティブなコトを考え出している



……→←……



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。