…… ページ2
**
びっくり顔で高木が俺を見上げた
高木と目が合うと俺はこれでもかってくらい高木に向けて念を送った
頼むからひかるにワケを訊いてくれ
どうしてそんなこと言い出したのか
俺に代わってひかるに訊いて欲しいんだ
それもなるだけ詳しく根掘り葉掘り訊いて欲しい
あと…俺が直接訊けないのは口の中が一杯で物理的に無理なだけで
決して動揺してるからじゃないって高木なら分かってくれてるよな
目を合わせたのはほんの数秒ーーー
そのちょっとの間に俺はこれだけのコトを目だけで高木にぶつけた
すると高木はなぜか俺をいたわるような表情を見せたあと
ひかるのほうに視線を戻した
「急にどうしたの? ひかるくん…、」
ひかるはふわふわの肉まんを見つめたまま黙っている
俺はもっと突っ込んでくれと立ったまま高木に更なる念を送った
「なんかあった?」
「ないけど…、女子たちがそんな話してたから気になって…」
ひかるは顔を上げると高木を見て言った
「雄也は経験あるんでしょ?ねぇ、その時どんな味がした?教えて」
「えっと…、どうだったかな…」
高木は宙を見ながらコキコキと首を左右にひねった
「あぁ、そう言えば…いちご味だったかなぁ」
「……、いちご?」
ひかるは興味津々といった様子で話の続きを待っている
「味っていうか匂いがしたなぁ…、多分その子がしてたリップクリームの香り」
「…ふぅん……」
ひかるは分かったような分からないような表情で顔を正面に戻した
*
.
83人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:べす | 作成日時:2022年7月12日 20時