好物頂上決戦【月島 蛍】

雲隠れする月。 ページ29

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「…何でいるワケ」

「赤葦さんに頼まれただけ！そんな顔しないでくれる？」

「赤葦さん、コイツいります？」

「いると思うよ。主に月島のために」








赤葦さんに手を引かれたまま体育館に入れば、

私の姿を捉えて嫌そうな顔をする月島。




赤葦さんに問い詰めるも、しれっと躱されて月島は口をつぐんだ。ざまあ月島。そしてさすが赤葦さん。


月島を煽った張本人の黒尾さんは、コートの後ろでリエーフのレシーブ練をしていた。

うわあ、リエーフ顔死んでる…









「俺の頭上に上げてくれればいいから。難しく考えないでね」

「はい」

「亀ちゃん頼むぜーー！」

「…木兎さん、声大きすぎます」






鼓膜破れるかと思った←

私はボールを手に取り、赤葦さんの頭上辺りに放る。







「ナイス。木兎さんッ！」

「っしゃあぁ！」

「っ、」






木兎さんのスパイクは、コースを読んでいた月島の手を弾いて、コートの中に落ちた。






「(…今、ストレートにちゃんと手が伸びてたのに)」





1枚ブロックに勝った、と喜ぶ木兎さんに、

黒尾さんが立ちはだかる。





リエーフは屍状態だった。乙。←








もう一度、赤葦さんの頭上にボールを投げる。






木兎さんのスパイクは、黒尾さんの手に阻まれ、こちらのコートに落ちた。







「ウェーイ」


「クッソォォ！」









黒尾さんのブロックは、圧倒的に月島と違った。

コースを読むのは勿論、飛び方、手の出し方。安定感があるように感じた。






「月島くんさぁ、こう〜、読みはいいんだけど…

弱々しいんだよな！腕とかポッキリ折れそうで心配になる！

もっとガッて止めないと！」


「僕、若くてまだまだ発展途上なんですよ。筋力も身長も、まだこれからなんで」





煽られてる。

笑顔だけど内心めっちゃムカついてるな。






「悠長なこと言ってると、あのチビちゃんにいいとこ持ってかれるんじゃねーの？同じポジションだろ〜？」





黒尾さんがそう言った時、

月島は一瞬目を見開いた。








「…それは仕方ないんじゃないんですかね？僕と日向じゃ元々の才能が違いますからね〜」






その言い方は、どこか。








「あ！ブロック練ですか！俺飛びます！」






「…じゃあ僕、お役御免っぽいんで失礼します」

「あ、月島！」









音駒の人達が来て、月島はそそくさと出て行ってしまった。



私は、追いかけることも出来ないまま、立ち尽くしていた。

パズルのピース。→←赤葦さんと第3体育館。

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