好物頂上決戦【月島 蛍】

答えが出てるようなもの。 ページ37

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代表決定戦に向けて、烏野は着実に成長していた。



最初の東京遠征合宿では惨敗していたのに、いい試合ができるようになって。

日向と影山の速攻も、成功率が上がってきた。





そして3回目となる東京遠征では、月島は黒尾さんをガン見していた。






それは、2日前に遡る。



私が烏養さんと話していた時、月島があの、と声をかけてきて、



『…高さでも、パワーでも、自分よりも圧倒的に上の相手のスパイクを、止める方法はあるんですか』




そう、言ったのだ。


私は驚いて持っていたバインダーを落とした。

烏養さんも放心状態だった。




「つ、きしm」

「(人1)には聞いてない。黙ってて」

「ぐっ…」

「あー…ブロックで1番重要な事って何だと思う？」




高さですか、という月島に、烏養さんはタイミングだ、と答えた。





「もちろん手の出し方とか、コースを読むだとかも重要だけどな。

…そうだな、個人のセンスとか、ブロックの司令塔として身近で優れてるのは、やっぱり音駒の黒尾辺りだと思う」



だから、観察して、学んでいけ。

烏養さんはそう言って笑った。









「リエーフ！！万歳ブロックすんなっつーの！腕はギリ！ボールが抜けない幅！」

「ハイっす！！」

「……」








黒尾さんの言動を、行動を、しっかり吸収してる。


その後に誘われた自主練も、月島は嫌がる事なく素直について行った。








「(…なんかもう、代表決定戦終わってないのに胸がいっぱいだ)」





私はジーンときて、自主練見に行こうかなあ…と思い体育館を出ようとした。





「なあ、亀ちゃん」

「あ、スガさん。どうしました？自主練手伝います？」

「いやそうじゃなくて。最近月島のことよく見てるよな〜って思ってからかいにきた」

「…はあ？」






スガさんがニヤニヤしていて、

そしたら何故か周りに烏野のみんな(日向と影山と月島以外)が集まってきた。



え、何？怖い…






「べ、別にそんな…」

「確かにバスも絶対月島の隣だよな〜」

「それはスガさんのせいです！」

「でも嫌じゃないんだろ？」

「……まあ」







ほら好きなんじゃん！！と騒ぐスガさんとノヤ先輩達。



いやいや、まさかそんな…








「月島に彼女とか出来たらどうする？」

「それは…」







想像したら、モヤモヤした。






それは、もう答えが出てるようなもの。


呆気なく、理解した。









「…好き、なのかもしれない、です」

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