好物頂上決戦【宮 治】

食べられるなら本望。 ページ47

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夢みたい、ってこういうのを言うんやろうか。


現実か分からなくなって、私は返事するより前に自分の頬をつねった。







「いだっ、」

「いや、何してんねん」

「驚きすぎて夢か現実か分からんなった…」

「え、そんな驚くもん？」





そりゃあ驚くわ。

散々ブスだのクソだのチビだの言われてきたのに、

それが好意になるとは思わないし。







「おにぎり、食べれんけどええの？」

「ブッ、どこ気にしとんねん。別に俺もあんま(人1)の食べとるパン好きやないしお互い様やろ」

「あ、バカにした！色々バカにしたな！明日から机にパン詰めといたるからな」

「はいはい。まあ俺もなんで好きなったかよう分からへんねん。ましてや自分の好物のおにぎり食べれん奴をな。


…でもなんや、コロコロ表情変わる(人1)見とったら、いつの間にか好きになっとって。

好きな子はいじめたくなるタイプやからついS発揮してしまってごめんなぁ」





アカン？俺と付き合いたくない？


抱きしめながら聞く治は、やっぱりとことんずるい。









「…アカンくない」

「ほんなら、付き合うてもええかな」

「何でいちいち聞くん…」

「(人1)の口から聞きたいねん」







いや私さっきちゃんと告白したやん。


それでも、なあなあと耳を撫でて催促してくる治に、私は甘いらしい。







「ええよ」

「よし。ならチューしよか」

「うん…は？待って、」

「うんって言うたから待たん」






いやそこは待ってよ。


そう言ったのも虚しく、私は座っていたベッドに押し倒された。



私の上に馬乗りになり、ぺろりと舌舐めずりする治。


まずい。




危険信号は出ているのに、手首を押さえられて動けない。


治は、そんな私の様子を見て笑った。







「3度目の正直や、観念しぃ」

「絶対キスだけで済まんやろ！」

「もしかして期待しとる？えっち〜」

「ちが、」

「ほんなら、お望みのままに」








息をつく間もなく、治の唇が触れる。


3度目の正直のキスは、とても熱い。







舌同士が触れ合って、下唇を甘噛みされて。


本当に食べられてしまいそう。









唇が離れて、ふぁ、と息を整えれば、


治がこくりと喉を鳴らす。









「やっぱ、美味そう…食べてええ？」

「…怪我しとるから、ダメ」

「ケチ」








もう一度、唇を重ねる。


指先を絡ませる。









「(治に食べられるなら、本望や、なんてな)」








心の中で、笑った。

人生最期の飯は。→←君の口から。

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