好物頂上決戦【宮 治】

夏休みの過酷な部活。 ページ26

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「ナイッサーもう一本！！」

「フォロー！」


「ナイスキー！！」






キュキュッ、とシューズが床に擦れる音、

ボールが跳ねる音、部員の声が響き渡る。








「お疲れ様です！」

「サンキュ、(人1)も汗やばいけど大丈夫か？」

「大丈夫です！ここに飴とか色々完備してますんで！！それより大耳さん、さっきのドシャットカッコ良かったです〜！！」

「はは、褒めるん上手いな」






夏休みの部活は過酷だ。

朝から夕方まで、ひたすらに練習、練習、練習。




まあ間にちゃんとした休みはあるけど、

蒸し風呂みたいなこの体育館で練習し続ける辛さは、2年レギュラーは去年痛いほどに経験した。

タオル、ドリンク、スコア付け、モッパー。

部員たちよりは動きが少ない私でも、玉粒の汗をかくほど。









「外周！！」






北さんの声に、わらわらと出て行くレギュラー。

夏の日差しがキツくなってくる時間帯に組み込まれている外周が、みんなはあまり好きではないらしい。


角名もやる気なさそうだったけど、走り出したらあっという間に見えなくなった。

意外とスタミナあるよなぁ…








「ほいお疲れさーん。すぐ止まらずにクールダウンしときやー」

「(人1)いっつもそれ言うよな」

「ちゃんと調べてん。ほらこのウサギの付箋のとこ」

「待ってそんなとこより絵下手くそなんめっちゃオモロいんやけど」

「バカにしたな侑！これでもうまく描けたと思ってんねんけど？」






部活で使う専用のノートには、

私が勉強した、ルールやスコアの付け方、レギュラーのデータなどが事細かく書かれている。


これでもマネージャーだからな。

絵が下手くそなのは仕方ない。絵心はお母さんのお腹に忘れてきた。←








「いつまで駄弁っとんねん。そろそろ体育館戻りや」

「はーい」







今日もかっこかわいい推し(北さん)に軽く注意されて、

私達は体育館に戻る。






…と、さっきまで近くにいたはずの治がおらず、

外を覗くと、蛇口の水を頭から被っていた。








「おーい治、はよ来い〜」

「…」

「聞こえとる？なあ治、」

「…おん、」









今日はやけに大人しいと思ってたけど、まさか。


治の元に近づいて顔を見れば、ほんのり赤い。









「…熱中症？」

「…ちがう、歩けるねん、」

「真っ直ぐ歩けとらんやんか」







ちょおここで待っとって。







私は慌てて体育館に戻り、北さんに事情を説明した。

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