散らばった思い出。 ページ42
.
「アンタが、これ、ッ」
「はい」
「何てことするんや!これは、これは…!!私の2年間やねんで!?」
部活であった、嬉しいことも楽しいことも、
辛いことも苦しいことも。
全部全部、この中にあった。
それを、こんな。
私は思いっきりその子の胸ぐらを掴む。
取り巻きの女の子が、横から睨んできた。
「やっていい事と悪い事あるんちゃう?なあ、」
「私やって、先輩が早く諦めてくれたらこんなことせんかったんですけどね。
教科書とか靴とか、そういうのやったらすぐにバレー部の皆さんにバレてまうのでしてないですけど」
ねえ、今どんな気分ですか?
そう笑うこの子は、絶対悪魔だ。
「…腹立ってしゃーないわ。こんなのに治やったら逆に治が可哀想や」
「へえ。まだそないこと言うんですね」
「当たり前や。バレー部に手出しはさせんもん。この私が、絶対に」
「ッ…そういうとこ、めっちゃムカつきますわ」
その日、私は部活を休んだ。
遅れる、と角名達に伝えたけど、行けなかった。
言うなれば、身体中傷だらけ。
こんなので、部活に行けるわけなかった。
そっと、散らばった紙をなでる。
また、ポロポロと涙が出てきた。
「う、わあぁぁぁっ…!!」
覚悟していたつもりでも、
やっぱり、しんどかった。
殴られたり、蹴られたらするのは痛かったけど、大丈夫、と自分に言い聞かせていた。
でも、これは、
1番大切だった物。
私とバレー部の、絆みたいなものだった。
「…なに、泣いてんねん、自分のアホッ」
涙を拭いて、散らばった紙を一つずつ、集めた。
ゴミなんかじゃない。
「バレー部には、手出しはさせんから、私が、耐えるんや」
.
.
それから私は、部活以外でバレー部と接触するのを避け始めた。
朝練が終わったら1人で教室に戻り、
お昼は飯島ちゃんと食べる。
放課後も、後で行くから〜と、角名達を先に行かせ、後から行く。
結局たまに呼び出されて傷だらけにされるんだけど、それでもこの子を出来るだけ刺激しないように、
そうやって、なんとか乗り切ってきた。
でも、角名と治は同じクラス。
席も隣と前後。
急に避けられたから、不審に思わないはずがない。
そしてとうとうある日の放課後、
「…オイ、目ェ逸らすなや」
私は治に追い詰められていた。
726人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亀さん - 完結おめでとうございます!治最高…………次回作も読ませていただきます! (2020年4月2日 10時) (レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます!初期からのファン…!嬉しいです、私の作品読んでくださってありがとうございます(^ ^) なるほど…おじいさまの名言、必ずやどこかで使わせていただきます!もう少しで完成するので待っててくださいね〜(^ν^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます!ドSの治による荒治療はいかかでしたか?(^ ^) それはまずい!もう一度宮治の荒治療を受けることをお勧めします(無限ループ)← 死なないで〜…次回作もぜひ読んでくださいね! (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ルナ・エイヴェルさん» コメントありがとうございます!過呼吸ぎみですけど大丈夫ですかッ(*_*) 結婚します(真顔)← ぜひぜひひっそりとニヤニヤ、キュンキュンしながら読んでください〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます!いえいえ!そう言ってもらえるだけで明日を生きる活力になるので大丈夫です← ぜひぜひ、次回作もよろしくお願いします〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるか | 作成日時:2020年3月22日 23時