逢引と駆け抜ける熱 ページ8
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前に黒尾のスパイクを取り損ねて、支えてもらった時と同じような、いや、それよりも近い距離。
大きな瞳の中に、何とも言い難い表情をした私が映っていて。鼻先がもう少しで触れそうだった。
…前と明らかに違うのは、熱の広がり方と速さ。
触れられた耳から、全身に向かって甘く熱が駆け抜けて。
そして、まるでボンッという効果音が正しくつくくらい、私の顔に一気に熱が集まった。
『ちっ、ちちち近い…!』
「あ、わ、悪い…!そっち側、見えなくて…」
『い、いいえ!とれ、取れた!?』
「お、おう!取れた!取れてる!」
『あっ、あ、あり、がと…!』
ピャっと距離を取って息を整えるくせに、恐る恐るまた夜っくんの方を見て、目が合って逸らして。
夜っくんも私と同じタイミングで見るものだから、もういたたまれない。
「(人1)〜?クールダウン…あれ、夜久じゃん」
『みっちゃん…!』
「夜久〜、体調良くなった途端にウチの可愛い(人1)に密会しに来るのやめてもらえますか〜?」
「なっ、」
『みっちゃん、夜っくんこれ届けに来てくれたんだよ。私が喋って引き留めたから…』
「もう(人1)はすぐ夜久庇うじゃん…ほら、早くクールダウンして」
『あっ、うん』
みっちゃんがタイミング良く来てくれて、ちょっとホッとして。
先に体育館に戻ってく背を見つめながら、私は身体の熱が少しずつ逃げていくのを感じた。
『…ごめんね夜っくん、みっちゃんが』
「いや、大丈夫…俺こそごめんな」
『夜っくんが謝ることじゃないよ…あ、あのさ、』
「ん?」
『黒尾のサーブ練習終わったら、今日夜っくんのところにレシーブ練習しに行ってもいい…?』
後輩の練習付き合うなら大丈夫なんだけど、
そう咄嗟に付け加えれば、夜っくんはニッと眩しく笑った。
「全然大丈夫だぜ。(人1)いた方がリエーフもレシーブ練真面目にやりそうだし」
『ありがとう…!じゃあ後でそっち行くね』
「おう」
ヒラリと手を振って、私は今度こそ体育館の中へ足を踏み入れる。
ニヤニヤしてるみっちゃん達を軽く睨んでから、座ってストレッチをしようとした時、髪の毛が頬にかかった。
スッと耳にかけた時、指が耳たぶに当たって、昨日のことと、ついさっきのことを思い出してまた顔に熱が集まってゆく。
『(…き、キスされるかと思った…)』
そんなこと、あるはずないのに。
ひたすらドキドキして、恋って怖い、なんて思った。
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時