身長差、0センチ《3》【夜久衛輔】

似たもの同士の親和行動・2 ページ5

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夜久side




＿＿もう、目を合わせてもらえないと思ってた。

失望されたと思ってた。




でも(人1)は、俺を心配してくれて、失望も、責めもしなかった。


恐る恐る包んだ、俺よりも少し小さな(人1)の手は、やっぱり俺よりもあたたかくて、

触れ合った先から、緩やかに適温になっていく。





「…本当に、決まってるだろ」





その言葉に、(人1)の頬が一瞬緩んだのを、俺は見逃さない。

ポーカーフェイスのつもりだろうけど、結構顔に出やすいタイプだし、本人がそれに気づいてないところがまた可愛い。




「…言い訳じゃねーけど、あの時、夢の中で(人1)に逢えたと思ったんだ」

『夢…？』

「色んな人に囲まれる(人1)が、遠く感じて…(人1)が近くにいないとこんなに寂しいんだなー、なんて情けなく思った。

…あと、影山と(人1)が並ぶと、スゲー"お似合い"以外の言葉が見つかんなくて」

『え、そう…？』

「身長差がいいなって思ってさ…遠くに行ったら嫌だなって思ってたら、(人1)が寝てる俺の髪を撫でるから、あぁこれは俺の夢なんだって、勘違いして…もっと近くにいてって手を掴んだんだ」



醜い感情を知られるのは恥ずかしくて、情けない。

でも(人1)が嫌な顔ひとつせずに聞くから、嬉しくて、ちょっとでもいいから期待したくて。





『…もう1人の夜っくんだ』

「笑うなよ、結構恥ずかしいから今」

『ごめんって。でも私はそういうの気にしないよ。むしろいつも同じ目線でいてくれる夜っくんの方がいい』

「…！」

『…遠くには行かない。寂しがりやな夜っくんの隣にいてあげる』

「…バカにしやがって」

『うにゃ、』





髪を揺らしながら笑う(人1)の鼻を、少し強く摘んだ。

…まあ、俺が招いたことだし、いいけど。





「…本当にごめんな。そんで、ありがと」

『どういたしまして』





(人1)が花を咲かせたように笑う。


…やっぱりこの顔が1番好きだ。






『私そろそろ戻るね。長居してごめん』

「いいって。大丈夫」

『…あ、夜っくんコレもあげる』

「…？何これ」

『内緒。私の手作りだから、不味かったらごめんね』





(人1)は手を振って教室を出かけて、




『…夜っくん』

「ん？」






『…可愛いって、いっぱい言ってくれて嬉しかった』

「…！」





そう言って、走っていなくなってしまった。





「…言い逃げなしだろ、バカ」




(人1)から貰ったレモンのはちみつ漬けのタッパーを手にしながら1人、笑った。

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