無自覚な煽りvs理性 ページ39
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手の中のジュースが冷たいと思ったのは、ほんの少しだけ。
日陰に座ってもじわじわ肌を撫でる蒸し暑さと、左側に座る夜っくんのせいで指先から温度が上がって、
ジュースを口に含んでも少し微温くて、無意味に足先をブラブラと動かした。
「(人1)、」
『なに?』
「…ちょっと肩見してくんね?」
『え?あっ、待って!』
「え、な、なに…?」
『…い、今、手つきが、ス、スケベ…だった』
伸びてきた指先に思わず距離を取れば、夜っくんは「は、はぁ!?そんなんじゃねーし…!」と耳を赤くした。
『でも、襟元引っ張るつもりだったでしょ』
「う、まあそう…だけど」
『…すけべ』
「…悪かったよ。昨日謝りそびれたから気になってつい、」
夜っくんが拗ねてフイ、と視線を逸らしてしまったから私は小さくため息をついて、夜っくんの手を掴んで襟元をグイ、とおろさせた。
「お、おい…!」
『跡はもう薄くしか残ってないよ』
「…痛くなかった?」
『全然。みっちゃんに言われるまで気づかなかったくらいだし。
あと夜っくんと私、身長一緒だけど体格は違うから、夜っくんのシャツちょっと大きくて襟元だるん、ってなるの。気をつけなよって私もみっちゃんに怒られたよ』
昨日慌ててみっちゃんに渡された少し大きめの絆創膏は、今日はもうつけてない。
まだ薄らと残るピンクの跡を、夜っくんが優しくなぞる。
「…いっつも(人1)を傷つけてんな、俺」
『いつも…?あぁ、前の手首のやつ?気にしてないってば』
「傷つけたい訳じゃないんだ。側にいて欲しい、好きだ、って強く想うほど無意識に身体が動いてんだ…ごめんな、」
『ううん、大丈夫だから謝らないでってば』
それに、と夜っくんの右手に左手を重ねた。
『…こうやって跡を残してくれるのは、夜っくんが私を強く想ってくれてるって証なら。
…本当は、消えてほしくない、くらいだもん…』
まん丸な目を更に見開いた夜っくんと視線が絡まって、
それからすぐ視線を上に向けて「あ"〜〜…」と夜っくんは唸った。
「鈍感に天然も足すとかふざけてんのか…」
『や、夜久さん?もしもし?』
「…(人1)、」
『あっ、ハイ』
「…めちゃくちゃにされたくなかったら、あんま俺を煽んな」
『め…?あ、煽…?』
「返事」
『ハイ…』
「よし」
夜っくんは満足げに頷いて、私の髪を優しく撫でた。
…めちゃくちゃって、なに?
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時