身長差、0センチ《3》【夜久衛輔】

願望と得意/不得意 ページ37

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『潔子ちゃん、こっち切り終わったよ』

「(人1)ちゃんありがとう。ごめんね、手伝ってもらっちゃって」

『ううん、こんなにたくさんの野菜、マネちゃんずだけで切るの大変でしょ？男子の分だけでも大変なのに女子にも色々してくれてるし、今日くらいは手伝わせて』

「ありがとう。そう言ってくれるの、(人1)ちゃんだけだよ」

「わ、手際いいね〜！料理得意なの？」

『…実は全然。食材切るのは得意なんだけど、料理は壊滅的に下手なんだ。レモンのはちみつ漬けしか作れない』

「…そうなんだ。意外だな」






練習試合終了後、いつもなら食堂で過ごすお昼を、先生方のご厚意で森然の中庭でバーベキューをすることになった。


もちろん、男子に巻き込まれ横取りされないように女子専用のテリトリーはある。そこは男子侵入禁止だけど、肉に飢えてる光太郎なら入ってきそうで怖い。



全体ミーティングを終えて中庭に行くと潔子ちゃんや英里ちゃんが大量の食材を切っていて、そのあまりの量に思わず声をかけたのだった。





「(人1)？お前何やってんの」

『黒尾。だって見てよこの量。こんなのマネちゃんずだけに切らすのは良くないでしょ』

「ね〜、男前！結婚して〜」

『雪絵ちゃんめっちゃ可愛いし結婚したいけど…食費ヤバそうだからごめんね』

「あ〜ん、振られちゃった〜…そうだよね、(人1)ちゃんは夜久くん？だっけ、としか結婚したくないもんねぇ〜」

『ち、ちが…！」

「違うの〜？」

『……ちが、く、は…ない、けど…』

「顔真っ赤で可愛い〜！こ〜んな可愛い(人1)ちゃんを夜久くんとかいうぽっと出の男に渡したくはないなぁ〜」

「ぽっと出は貴女の方だとボク思うんですが」




ニヤニヤする黒尾と、グリグリ頭を擦り寄せる雪絵ちゃん。

雪絵ちゃん可愛いなぁ、と思いながら目の前の野菜達と黒尾を見つめてハッとした。






『…やっぱり料理の出来る女の子の方がいいよね』

「あ？んー…まあ、家庭的な女がタイプって多いよな」

『…終わった。ありがとうございました』

「待て終わるな包丁を置け！夜久がそのタイプとは限らねーだろうが！」

『だって夜っくん家事全般出来る子好きそうな顔してるもん…夜っくんにあんな禍々しい見た目の料理出せないよ…』

「どんだけ料理出来ねーんだよお前は…」





むしろ気になるわ、と言われたけど教える気はなく。


マネちゃんずにオッケーを貰うまで得意な食材の切り込みをひたすらに行った。

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