本能とこの先の愛 ページ29
.
夜久side
__諭したはずの本能が、また顔を出した。
一度、その感触を、熱を知ってしまえば、ずっとそれを味わっていたくて、もっと、もっと、と欲張ってしまう。
『…や、っくん、』
「…(人1)、」
『ゃ、みみだめ、』
「…わざと」
指を絡ませて、耳元で囁く。
耳、鎖骨、って順に甘噛みすれば、(人1)の肩が大袈裟ってくらい跳ねて、『ぁ、』と小さくて甘い声が溢れる。
その声に脳がしびれて、無意識に右手で(人1)のシャツの裾に触れた時、(人1)が涙目で俺を見つめる。
その瞳には、余裕のない俺の顔が映っていて。
「…っとに、勘弁してくれマジで」
『ん、』
今は違うだろ、と手を離して、逃げた理性をもう一回引っ張ってきて荒々しく唇を押しつける。
掠める吐息も、熱くなってく唇の温度も、名残惜しくて仕方なかった。
「ッ、(人1)ー…大丈夫か、」
『もー…だいじょばない、です…』
「まだ泣いてる…ふ、そんなに良かった?」
『…そ、想像にお任せします…』
目尻に浮かぶ涙を拭って、耳まで赤い(人1)の上体を起こしつつそのまま抱きしめる。
無言でそうしていると、(人1)がふわりと目を細めて優しく笑う。
『…ここに恋愛しに来たわけじゃなかったのに、苦しくても仕方ないって思ってたのに、夜っくんが私を逃してくれないから、欲張っちゃった』
「ちょっと。俺だけのせいにすんなよ。(人1)だって俺のこと逃してくれなかっただろ」
『だって…夜っくんがカッコよくなかったことなんてないもん。さっきも言ったけど、嫌いになんかなれないよ』
「…俺、(人1)のことになるとだいぶ情けないことばっかしてるけど?」
『それでもカッコいいの。逆に、夜っくんが私を好きになってくれる要素が見当たらないよ。
夜っくんがくれるものに比べたら、私が夜っくんにしてあげれたことなんて、全然ないのに…』
ここまで俺の気持ちを聞いておいて、まだそんなことを言う(人1)に、この先どうやって俺の愛を教えていくべきか悩んだ。
「…(人1)は俺の隣にいてくれるだけで、それだけでいつもじゅうぶんすぎるくらいたくさん幸せ貰ってんだよ。だから、もう2度とそんなこと言うな」
『…ほらぁ!そういうさりげなさカッコいいの…!』
「ありがとな。(人1)はいつも可愛いぜ」
『ぁ、も、もうやめて…戻ろ?ね、』
限られたこの時間は終わりを告げて、
俺達は笑い合いながら、ようやく立ち上がった。
1245人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時