抵抗なんかさせてくれない ページ26
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__逃げようともがくのを夜っくんに許してもらえないのは、これで2回目。
あの時も、こうなってから危機を感じていたのに。
夜っくんは片手で私の手首を押さえつけている。
片手、なのに。身長は一緒、なのに。こんなに違いがある。
「…昼、腕相撲してんの、見てたろ?バレーじゃまた違うけど、鍛えてっから影山よりも力あんだよ、俺。(人1)のこと押さえつけんのだって、簡単に出来んだよ」
『…っ、知ってる、』
「知ってんなら、もっと必死に抵抗しろよ。マジで喰うぞ」
『〜〜っ、や、服…!』
「研磨には見せてたろ。見て欲しかったんじゃねーの?」
服をまくられて、夜っくんの指がお腹を滑る。
触れるか触れないかくらいの優しいタッチに、肩が跳ねて抵抗なんかさせてくれない。
いつもと違う夜っくんが怖くて、でも優しい指はやっぱりいつもの夜っくんで。
訳が分からなくて、ポロポロと涙が溢れていく。
「…怖いだろ」
『っ、』
「でも泣きたいのは俺も同じ。(人1)が大事だから、(人1)にこんな怖い思いして欲しくないから、危機感持てってずっと言ってんの。分かる?」
『…うん、』
「(人1)は誰にでも優しいし、小柄だし…可愛い、から。こんな男だらけのところで隙見せたらすぐこうやって押し倒されんだからな。もっと魅力を自覚しろって」
『…うん。ごめん、ね、夜っくん、』
「俺こそごめん。泣かせるつもりなかったんだけど、ちょっとやりすぎたな」
服を直して、手首も離されて。
ゆっくり上半身を起こして、涙を拭う私を優しく抱きしめた。
ぽん、ぽん、と背中と後頭部をあやすように叩かれる。
「…俺のこと、嫌いになったろ」
『え、なん、で…?』
「(人1)のこと押し倒すの、2回目じゃん。(人1)に分かって欲しかったから、嫌われてもいいか、って覚悟はしてたんだけど」
私と反対を向いている夜っくんの表情は見えない。
…だから、背中と頭にまわる夜っくんの手を私から離して、そっと夜っくんの頬に手を触れた。
髪と同じ、ヘーゼルブラウンの瞳に私が映る。
『…嫌いになんか、なれないよ。そもそも、嫌いにさせてくれないじゃん』
「…そうか?」
『そうだよ』
夜っくんの手も、私の頬に伸びる。
…私より少し低い体温が、溶けて適温になる。
自然と、お互い顔が近づいて、
おでこ同士が優しく触れた。
「…(人1)、」
すり、と夜っくんの親指が私の唇をなぞった。
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時