危機感の欠如と捕食者 ページ25
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「…あーあ、夜久くんだ」
『夜っくん?』
「なんだ、(人1)もい…は?なんだよその格好は」
『壊れた蛇口を使っちゃって水を浴びて…あ、風邪とかは多分大丈夫だからね!』
「それもだけどそうじゃなくて」
研磨の向こう側に見える夜っくんは、私を見て眉をひそめる。
早足で近づいて、持っていた少し大きめのタオルを私の首にかけた。
「着替え持ってねーの?」
『持ってるけど…そこまですぶ濡.れじゃないし、暑いから練習してたら乾くかな、って…影山くんと約束しちゃったし、待ってるだろうし』
「はぁ〜〜…もういいわ、頭きた。ちょっと待ってろ」
夜久くんはため息をつきながら第一体育館の入り口で中を覗き込んで、「影山!」と叫んだ。
影山くんと会話して(多分)、戻ってきた夜っくんに、『別に平気だって』と言うけど「(人1)は平気でも俺がダメ」と言われ、手首を掴まれた。
「こっち」
『あ、うん…』
「…研磨、」
「…そんな顔しなくても、誰にも言ったりしないよ」
「ありがとな。1番最初に見たのが黒尾とかじゃなくて、研磨で良かったわ」
「そうだね…じゃ、おれ部屋戻るから…ほどほどにね」
研磨はそう言って先に部屋に戻って行った。
…ほどほど、って何?
そう思うけど、夜っくんが「来て」と手首を引っ張るから、何も聞けなかった。
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着替えを取りに行くかと思ったら行かなくて、
夜っくんは2階の使われてない教室に、先に私を押し込んだ。
カシャン、と教室の鍵が閉められて、
無表情の夜っくんと目が合った。
『…あの、夜っく、』
「…前に俺が言ったこと覚えてるか?」
『ま、前…?』
「もうちょい危機感持てってやつ」
一歩、また一歩、夜っくんが近づいてくる。
逃げようにも、なぜか足が動いてくれなくて。
『お、ぼえてるよ…』
「ふーん…こんな男ばっかりのところで下着晒してんのに?」
『えっ、あ…うそ、透けて…』
「ほら、全然危機感ない。影山に見せびらかすつもりだった?」
『ち、ちが…!本当に気づかなくて、』
「だからそれが危機感ないっつってんの」
『っ、』
勢いよく手首を掴まれて、夜っくんと共に床に倒れ込む。
夜っくんが咄嗟に腕を出したから、頭は無事、だったけど。
「…ムカつく。マジで喰ってやろうか」
私を見下ろしてそう言う夜っくんの目は、
__今まで見たことないくらい、ギラリと鋭く光っていた。
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時