見抜かれる嘘と最適解 ページ3
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『…体調大丈夫?』
「あー、まあ…午前中ゆっくり休んだから、大丈夫だ」
『良かった…あ、私いるとご飯食べづらいよね?ごめんね、気にしなくていいよ』
「…いや、食べながら話すの行儀悪いし、失礼だろ。もう少ししてから食べるわ」
夜っくんの髪は、直前まで寝ていたからなのか寝癖がついてて毛先があちこちに跳ねている。
可愛くて、そんな抜けてる姿まで愛おしいと思ってしまう。
「…(人1)」
『…はい』
「…勘違いだったら恥ずかしいけど、俺の様子見にきてくれたのか?」
『勘違いじゃないよ、合ってる。夜っくんの姿なくて心配だったから』
「…心配、か…今の俺にそんな資格ないのにな」
夜っくんは自虐的に笑ってから、
「腕見せろ」と私の手に触れずにそう言った。
『両腕?』
「おう。レシーブするみたいにこっち向けて」
『…はい』
「…これ、まだ痛いだろ」
『…ううん、痛くないよ』
「嘘つくな」
赤い痕が残る腕を見られて即座に嘘をつけば、夜っくんは見透かしたようにピシャリと言い切って、私の肩がビクッと跳ねる。
そんな私に、「…ごめん、」と謝りながらゆっくり布団から抜け出して、救急箱を持ってくる。
そしていつものように無言で私の腕に触れようとして、直前に動きを止めて「…手触って大丈夫か」なんて聞いてきた。
『うん、大丈夫…でもいつも許可とか取らないのに』
「…怖いだろ、俺のこと」
『…どうして?』
「どうしてって…こんな残る痕つけられたらトラウマものだろ…本当に、ごめんな」
…そうやって強い痕を私に刻みつけたくせに、
早く消えてほしいと願って、優しく傷痕に触れるなんて。
『…怖かったら、こうして触れさせてないしそもそも心配なんてしないよ』
「…でも俺、(人1)のこと傷つけたんだ」
『傷ついてなんかないよ。
…そもそもこの痕、夜っくんにつけられたなんて、今初めて知ったんだし』
「…は?」
処置を終えた夜っくんが私の言葉に顔をあげる。
…目を泳がすな。さっきみたいに嘘だと見抜かれるな。
私は夜っくんと視線を合わせて軽く笑った。
『昨日、眠いままこの部屋に来たから…あんまり覚えてないんだ。だからこれ、自分で記憶ないうちにつけたのかと思ってた』
「そ…んなわけないだろ。俺に何されたか覚えてんだろ、(人1)」
夜っくんが必死にそう言うけど、
私は頑なに首を横に振った。
…きっとこれが、今の"最適解"。
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時