脅迫じみた願い ページ19
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『痛い…また床で皮膚擦っちゃった…』
「(人1)、フライングレシーブまだ下手くそだな〜」
『頭では理解してるんだけどね…』
「今一緒にやるか?ちょっとしゃがめ」
『い、いい…!明日ふみちゃんとやるから!』
5日目の夜のレシーブ練習。
前の3対3の時に一緒のチームだった山本くんが、今日は敵チームで。
エースというだけあって、スパイクのパワーが凄い。
1枚ブロックじゃ止めきれないことが多くて、吹っ飛ばされたボールを腕じゃなく手で拾うたびに皮膚を床に擦って溶かしていた。
『でも最近、ボールがよく見えるようになったかも』
「お、いいじゃん。ちゃんと俺の教えたトレーニングもやってる?」
『ビジョントレーニングでしょ?もちろん毎日やってるよ』
「おし。上手くレシーブ出来るようになっても満足して辞めんなよ?続けることに意味あるんだからな」
『分かってますよ』
ぽんぽん、と夜っくんは私の頭を優しく叩く。
…こんな優しい夜っくんなのに、"ふらち"な思考だったり夢を見てしまったりして本当に土下座レベルで申し訳なくなる。
__意識も期待もやめよう。
ここに恋愛しに来たわけじゃないんだって。意識も期待も、したところで無駄だって。
夜っくんの隣にいれる。それだけで今はとりあえずいい。
「そういえば、木兎達はこの合宿終わったら日曜日にはもう開会式に行くって言ってたけど、女子の開会式いつだっけ?」
『女子は男子の決勝が終わった後だから、8月3日の金曜日に富山まで行くよ』
「富山って遠いよな〜…新幹線乗ってく感じ?」
『うん。でも直通で行けるのないから乗り換えあるんだって。それでも2時間ちょっとで行けるらしいけど』
「…(人1)、」
夜っくんがジーッと私を見る。
いつもと何も変わらない、同じ高さで。
「ベスト4…つまり、準決勝まで勝ち進んだら、俺達も応援行けるかも、って黒尾が言ってた」
『…!』
「まだ確定じゃないらしいけど…もし、本当なら俺は、画面越しじゃなくて直接(人1)を応援したい」
「…だから、絶対そこまで勝ち進んでよ」
それは、お願いじゃなく、脅迫だった。
柔らかな顔から放たれる、真意。
『…そこまでどころか、全部勝ちますけど?』
「はは!言うようになったな!」
『1番長く試合していたいから、負けられないもん』
手に持ったボールを見つめて、私は意気込んだ。
__IHまで、あと1週間と少し。
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はるか(プロフ) - Lunaさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです…!これからもそう言っていただけるよう頑張るのでぜひ今後もよろしくお願いします!m(_ _)m (3月22日 1時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - もう、めちゃくちゃ胸キュンしちゃいました…。ほんと素敵なお話をありがとうございます…!!やっくん、かっこよすぎます!!! (3月17日 11時) (レス) @page30 id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - chia.さん» コメントありがとうございます!集合写真はずるいですよね〜…泣くに決まってますよ…本当に… ありがとうございます!更新頑張りますね(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - わにゆずさん» コメントありがとうございます!一緒の方いてテンションぶち上がりました(^∇^)あれは音駒好きにはたまらんですね!モチベ上がりまくりですよね!どうか勉強に集中出来ますように…(^^) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!私も夜っくん好きなので書いてて楽しいです(^^) 全然拙くないです!直球で伝わってます!嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします!(*^^*) (3月16日 2時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年3月8日 8時