既知の感情と胸痛 ページ39
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『…影山くん、既にジャンプサーブ強いんじゃん。これは影山くんの勝ちだね』
「勝ち…?」
『昼言ってた話。黒尾はまだジャンプサーブ安定してないんだよ。だから影山くんの勝ち』
「はぁ…」
『うん、そこら辺はどうでもいいよね』
影山くんのサーブ練習はスムーズに進んでいく。
元々ジャンプサーブが強いから、教えることはそんなにない。
『ボールのミートは中心からちょっと外して…この辺。で、真っ直ぐじゃなくて軽く滑らせて捻る感じ』
「こうっスか」
『そうそう。で、サーブトスの時に出来るだけボールを回転させるともっとカーブかかるから。今はサーブ入れることだけ考えて、入るようになったらコースの打ち分けかな』
「なるほど」
…吸収力速いな。
そう思ってると、「柳井さん!」と烏野の…確か澤村くん、が声をかけてきた。
「影山のサーブ練習付き合ってくれてありがとう」
『いいえ〜。まあ影山くんサーブ強いし、私が教えるほどでもないけど…』
「そんなことねえべ!月バリ読んでから柳井さんのサーブ、動画で見たけど凄かった!」
『あ、ありがとう…』
「こらスガ、急すぎて柳井さん困ってるだろ。ごめんな」
『ううん、全然!』
澤村くん、菅原くん、そして「影山に負けられね〜」と言って隣のコートに向かって行った東峰くん。
影山くんのサーブを見ながら3年生達と色んな話をした。
…そういえば東峰くんって、夜っくんが前に言ってた「社会人みてーな怖い顔したスパイクめっちゃエグい」人だよな。
確かに顔は怖いかも、とチラリと夜っくんを見た時、
『え、』
「…?どうしたの?」
『あ、いや、何でも…』
心臓をギュッと締め付けられたような苦しさが私を襲う。
だって、だって。
「……って感じで」
「うわ〜!」
「聞いてるこっちが……だよね」
…夜っくんが、梟谷の男バレマネージャーの、かおりちゃんと雪絵ちゃんに挟まれて楽しそうに会話してる。
…顔を少し赤らめて。
何の話をしてるかはこの距離だと途切れ途切れにしか聞こえないけど、
私は内容よりも胸の痛みを消したくて仕方なかった。
『(…"大事にしたい子"どころかそれ以下にもなれないなんて)』
「…こんな気持ち、初めてなんだ」
「目が離せなくて、逸らしてほしくなくて、」
「…好きだって、気づいたんだ」
その言葉だけ、なぜか鮮明に聞こえてきて。
私はただ、拳を握りしめるだけだった。
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雨音 淡桜 - 17ページ冒頭、読んだ瞬間むせかえって窒息しかけました(笑死) (3月25日 16時) (レス) @page17 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!あのシーン夜久さん好きには堪らないですよね…いっぱい夜久さんを映してくれて良かった…(^^) これからもカッコ可愛いうちの小説の夜久さんをよろしくお願いします! (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - kis09170810さん» コメントありがとうございます!映画やばかったですよね…私はいまだに泣いてしまいます…この先もしばらくもどかしい展開が続きますのでハラハラしながらお読みください…(^^) (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 風佳さん» コメントありがとうございます!そういっていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです(^^) ちょっと本能出てしまう夜久さんマジ性癖です…笑 (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 私も映画で、「もっと〜?」ところがすごく好きです!というか映るたびに声が聞こえるたびにニヤニヤしてます笑 夜久さんのかっこよさと可愛さに悶えながら読ませていただいてます。続き楽しみにしてます! (3月9日 1時) (レス) @page48 id: fcb07708b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年2月26日 21時