鈍感は責任の意味を知る ページ22
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『あ"つ"〜…』
「(人1)、暑い禁止」
『やだ〜…昨日1回目の合宿終わったばっかで疲れてるからかなんか余分に暑い感じするもん…汗止まんないよ…』
「てか前髪汗で張り付いてるじゃん。前髪長いし結んでおけば?私、髪ゴム持ってるよ」
『やった〜、お願いします…』
「結んでもらう前提か」
ぺたん、と机に突っ伏すけど、机は冷たくない。
7月に入った。
まだまだ先の梅雨明けを嘲笑うかのように、じめじめとした暑さが続く。
いつもは汗かくほどじゃないのに、今日はナントカ現象で突然30℃近くまで気温が跳ね上がって、私は下敷きで自分を仰いでいた。
休み時間に部活の話をしに私のクラスに来たみっちゃんは、湿気でくるくるした髪を揺らしながらいそいそと私の前髪を結ぶ。
『くるくる』
「(人1)はいいよねえ、うねりとか関係なくてさ…」
『そう?くるくるも可愛いよ。私なんか髪ぺたんこなるし…』
「くるくるよりも私はそっちの方が…あ、」
みっちゃんが言葉を止めたからその視線の先を追えば、
購買に行っていた黒尾と夜っくんが教室に戻ってきて夜っくんが私の前の席に座った。
「(人1)、溶けてね?大丈夫かよ」
『だいじょばない…』
「(人1)動かないで」
『ハイっす…』
できるだけ動かずジッと、カフェオレを飲む夜っくんを見れば、
いつもより毛先があちこちにくるくるふわふわ跳ねていて、思わずニンマリしてしまった。
『毛先が遊んでる』
「む、しょうがねーだろ。この時期はいつもこうなんの」
『可愛くて良いと思います。黒尾は…関係ないね、うん』
「ボクのは年中コレなんで」
「その笑顔やめろムカつく」
黒尾の胡散臭い笑みに夜っくんが蹴りを入れた時、「出来たよ」とみっちゃんが結んだ前髪をピンで留めた。
『ありがと〜。あは、おでこスースーする』
「いいじゃん。中学生みたいだな」
『黒尾黙って』
「そういえばデコの跡残んなくて良かったな」
『今更?もうどこに傷あったかも忘れちゃったよ』
夜っくんに言われて、そんな事もあったな…と思い出す。
するとニヤついた黒尾が「責任取れなくて残念だな〜」となんかわざとらしく言う。
『前も言ってたけど何それ』
「いやいや、女の子の顔に一生モノの傷なんかつけたら男としては責任取って嫁に迎えるしかないでしょうがよ」
『嫁…?』
「結婚ってことデスヨ」
黒尾の言葉に、私は開いた口が塞がらなかった。
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雨音 淡桜 - 17ページ冒頭、読んだ瞬間むせかえって窒息しかけました(笑死) (3月25日 16時) (レス) @page17 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!あのシーン夜久さん好きには堪らないですよね…いっぱい夜久さんを映してくれて良かった…(^^) これからもカッコ可愛いうちの小説の夜久さんをよろしくお願いします! (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - kis09170810さん» コメントありがとうございます!映画やばかったですよね…私はいまだに泣いてしまいます…この先もしばらくもどかしい展開が続きますのでハラハラしながらお読みください…(^^) (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 風佳さん» コメントありがとうございます!そういっていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです(^^) ちょっと本能出てしまう夜久さんマジ性癖です…笑 (3月9日 23時) (レス) id: bc0669ada1 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 私も映画で、「もっと〜?」ところがすごく好きです!というか映るたびに声が聞こえるたびにニヤニヤしてます笑 夜久さんのかっこよさと可愛さに悶えながら読ませていただいてます。続き楽しみにしてます! (3月9日 1時) (レス) @page48 id: fcb07708b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2024年2月26日 21時