身長差、0センチ《2》【夜久衛輔】

シフトチェンジ ページ3

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＿＿一進一退の攻防が続く。





「(人1)！」





トスが上がって打つ直前、相手ブロックが１枚私にコミットしてきて、コースを絞らされる。



ドッ、とこっちのコートにボールが落ちて、

23-25で第二セットを落とし、これで1-1のイーブン。






「…相手、(人1)のこと警戒してるね」

「ダークホースだね、下北沢明徳…先週の駒沢高の時もそうだけど、ここまで勝ち上がるともう誰も(人1)のことをナメないし、警戒しないわけないよね」




『……じゃあ、いつもと逆(・)でいこうか』





タオルで汗を拭きながらそう言った私に、みんなが驚き、そして笑う。





「え〜、いいんですか？先輩より目立っちゃって」

『むしろ君は目立って欲しいんだけど。あ、囮ではちゃんと飛ぶからね！』

「てか自信満々に言うけど出来んの？」

『…やるしかないよね。みんなは？お願いできますか？』





私の言葉にみんなが頷く。監督もコーチも。

第三セット開始直前、私はセッターのみっちゃんに囁いた。




『…相手チームのブロッカー達、騙せる？』

「…要求によりけり」

『…前衛の時もだけど、私が後衛の時も、囮には入るけどバックアタックは上げなくていい。基本レシーブに専念する。

…そんで、相手チームの意識が私から逸れてきたな〜って思ったら私にトスちょうだい。全力でぶち抜くから。その時にはブロッカー達を私からコンマ数秒遠ざけて欲しい』

「無茶言うよね、(人1)は。まあ…やってみるけど」

『さすがみっちゃん』





スパイカーの要求に"やってみる"って言えるだけ凄い。

私は仲間の頼もしさにニヤニヤが止まらなかった。







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21-20。

とってはとられの繰り返しで点差が離されることはない。




「みっちゃんナイスツーアタック！」





私が三セット目でとった得点はほぼサーブのみ。

でも、大丈夫。

　



＿相手チームは、いつ私が打つかとずっとソワソワしてる。






ふわ、と明徳のエースにトスが上がる。





『(…ストレート側にブロック2枚、助走、踏み込み完璧、身体の向き、ストレートだけど視線はクロス…！)』





打ち込まれるコースに光が通った気がして、

ドッと放たれたボールの真下、誰よりも早く半歩前に出て素早く入り込む。



両腕は同じ高さにして、腰を落として身体全体で、勢いをいなす＿






バンッ







その音と共に、

ボールは緩やかに回転してアタックラインへ上がった。







『(…出来た！)』

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