幸福と転落。 ページ44
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「…チッ、みんな電話出ないんだけど」
「ひ、人混みだし聞こえてないんじゃない?」
「まあそれもあるか…」
携帯をポケットにしまって、とりあえず唐揚げをつまむ倫太郎。
やばい、これ後から実はわざとでしたって言ったら怒られるかな…
あ、でも侑が言い出したから怒られるのは侑だ!うん!←
「とりあえず、花火までまだ時間あるけどそろそろ甘い物食べたいな」
「もうご飯系はいいの?」
「うん。今の気分はりんご飴かなあ」
「さっきは唐揚げだったのに気分変わりすぎじゃね」
フッと笑って、近くにりんご飴の屋台がないか探してくれた。
慌ててついていこうとすると、それに気付いて手を差し伸べる。
「ん、」
「え?」
「…(人1)まで離れたら困るし」
「わ、ちょっ」
ぎゅ、と手を握ったかと思えば、
するりと指同士が絡まる。
待って。
これって、この繋ぎ方って、
「りん、」
「…絶対、離さないで」
「…うん!」
ふい、と顔を逸らした倫太郎の耳は、
屋台の明かりのおかげで、ほんのり赤くなっているのが分かった。
「(…ずるい、ずるいよ。倫太郎…)」
期待してもいいの?
自惚れてもいい?
倫太郎も、私のこと好きなのかなって。
さっきまでのイライラが吹っ飛ぶくらい、嬉しくなった。
私は実は単純なのかもしれない。
「あった、りんご飴の屋台」
「めっちゃ美味しそう…!倫太郎も食べるよね!」
「うん」
「なら花火見ながら食べよ!」
あんまり大きいのを買っちゃうと食べにくいから、
少し小さめのりんご飴を2つ買う。
手が離れちゃったの、ちょっと寂しいなあ。
「去年は食べなかったよね」
「うん、何でだろ…去年のことなのに忘れた」
「3日前のことも覚えてないもんね」
「バカにしやがって…流石に覚えてるよ」
「てかりんご飴懐かしいよな、3年前も、」
「倫太郎くん?」
「…
倫太郎と私の会話を遮る、
凛とした、でもどこか優しいような声。
唯乃、と呼ばれるこの子を、私は知っている。
…同じ中学で、私が転校する前に同じクラスだった子。
倫太郎と、仲が良かった子。
まさか、
「…久しぶり。全然変わってないね」
「そう?倫太郎くんも付き合ってた時と変わらないよ」
ズキリ。胸が痛んだ。
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あやね - 「離れ離れの1年ちょっと。」のところの角名君の出身地は、愛知県です!! (2022年11月2日 18時) (レス) @page4 id: 04b5e98dd0 (このIDを非表示/違反報告)
すなりんん - 涙が勝手に溢れてきましたごめんなさい「?」 (2020年4月22日 1時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - え、好きです (2020年3月24日 10時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 再び失礼いたします。完結おめでとうございます!!!!角名はやっぱ色気の塊ですね!えっrrr((素敵な推しをありがとうございました!治も楽しみにしております。がんばってください!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: a9c340b6bb (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - 完結おめでとうございます!!!やっっっっと結婚しましたね!!!←角名くんすきぃ……次回作も読みます!!!佐久早好きなの分かりすぎて泣…………サム楽しみにしてます!!! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年3月8日 1時