俗にいう。 ページ34
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「さーくさっ」
「うるさい近寄るな」
「見て!セミの抜け殻!佐久早にあげようか?」
「…オイ、こいつ話聞かないんだけどわざと?」
「残念だけど素だよ」
合宿2日目。
今日から3日間、井闥山と練習試合。
泊まる場所も一緒らしい。ジーザス。
でも前回佐久早にスプレー攻撃されたからなんか悔しくてもうそれはそれは積極的に話しかける。
倫太郎、素じゃなくてわざとだ。
この人はなぜか私についてきて私と佐久早のやりとり(?)を携帯片手に楽しそうに見ている。
「チッ…古森どこ」
「さあ、誰かに呼ばれてたような…」
「……チッ」
「いや舌打ち多すぎな。同じ東京出身らしく仲良くしようよ〜。ね?」
「断る」
本当にブレないなこの人。
ガクリと肩を落とすと、まくっていたジャージの袖がスルスルと落ちてきた。
「…オイ、ジャージでかくないの」
「これ倫太郎のなんだ〜。ほら見て佐久早、袖オバケ」
「いつまで俺の奪ったままだよ。はよ返せ」
「奪ってないよ…」
倫太郎の背中にセミの抜け殻をくっつける。
背高いから本当の木みたいワロタ←
まあ案の定すぐ返ってきたけど。
「佐久早もやってあげるホラ」
「まじ近寄んな」
「どこにする?」
「話聞けよ」
ふふ、と笑いながら佐久早を見ると、
急に手首を掴まれて顔を覗き込まれた。
「…お前」
「三井原です」
「どうでもいい…お前、顔色悪い」
「え、」
「風邪か?」
ズモモ、と効果音がしそうなくらい佐久早から黒のオーラが出てる気がする。
慌てて首を横に振る。
しかしさらに近くなる佐久早の顔。
「顔青白い」
「ちょっと、顔近い…」
「風邪じゃないのか」
「違うって」
佐久早の手を振り解いて離れようとする。
その瞬間、
グラリ。
視界が傾く。
「あ、れ?」
そのまま後ろに、たおれ、
「あぶなっ」
「あ、りんたろ…」
「さっきまで元気だったのにどうしたわけ?」
どうやら倫太郎のおかげで倒れずに済んだようだ。
後ろからの温もりがあたたかい。
心臓がうるさい。
どうして。佐久早に顔を近づけられた時は何もなかったのに。
「休む?」
「ちょっとだけ、」
「ん」
その瞬間、私の身体は宙に浮いた。
「え、」
なんと私は、
倫太郎に、俗にいう"お姫様抱っこ"をされていたのだった。
why?
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あやね - 「離れ離れの1年ちょっと。」のところの角名君の出身地は、愛知県です!! (2022年11月2日 18時) (レス) @page4 id: 04b5e98dd0 (このIDを非表示/違反報告)
すなりんん - 涙が勝手に溢れてきましたごめんなさい「?」 (2020年4月22日 1時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - え、好きです (2020年3月24日 10時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 再び失礼いたします。完結おめでとうございます!!!!角名はやっぱ色気の塊ですね!えっrrr((素敵な推しをありがとうございました!治も楽しみにしております。がんばってください!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: a9c340b6bb (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - 完結おめでとうございます!!!やっっっっと結婚しましたね!!!←角名くんすきぃ……次回作も読みます!!!佐久早好きなの分かりすぎて泣…………サム楽しみにしてます!!! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年3月8日 1時