合宿所到着。 ページ25
.
カシャ、カシャ。
近くから聞こえた音に、意識が浮上する。
「あ、起きた」
「…着いたの、」
「まだ」
「なんだよぉ…もうちょい寝かせろよぉ…」
「別に起こしてはないんだけど」
ぎゅむ、と鼻をつままれて睡眠妨害される。
クソかよ。起こしてんじゃねーか。
「ねえどうせ私の寝顔撮ったんでしょ」
「うん。よだれ垂れてた」
「は!?嘘でしょ最悪しにたい」
「まあ嘘だけど。写真は撮ったからいつか大耳さん辺りに見せる」
「嫌だァァァァ」
べーっと舌を出して挑発する倫太郎。
クソ。やっぱりコイツの隣無理。帰りのバスはぜっっっったいに大耳さんの隣死守決定。
「着いたで、荷物おろしたらロビーで点呼とるで」
「はーい」
「菓子のカス落ちとるで。拾っときや」
「うーん北さん真面目すぎる…」
お菓子のカスをティッシュで摘んでビニール袋に入れる。
倫太郎はあくびをしながら伸びをしていた。
「まだ?早く降りろよ」
「うっさいな今降りるだろうが」
「あ、ここにもゴミあるよ。お前の友達じゃん」
「座席に縛り付けて置き去りにするよ?ねえ」
「お前らはよ降りや」
北さんに背を押されバスを降りる。
そよそよと涼しい風が頬をかすめた。
学校からバスで1時間半ほどのところあるこの宿泊施設は、毎年稲荷崎高校バレー部の夏合宿の場所。
施設の隣には大きい体育館がある。
すごいよね。もはや我々の為だけにあると言っても過言ではない。
しかし、山が近いこの場所は、とにかく虫が多い。
去年からこれにはだいぶ悩まされてきた。
「尾白さん背中にセミついてますよ」
「は!?ちょお無理無理誰かとってや」
「やめて!それ以上近づいたらめった刺しにしますよ!」
「物騒すぎんか!?いやその前にどうやって刺すねん!」
さすが尾白さんだ。
自分のピンチなのに的確にツッコミを入れるその姿。
関西人の鏡である。
セミは北さんが仕留めた。excellent。
「部屋に荷物置いたら15分後に体育館集合な〜」
監督の言葉に軽く返事をして荷物を持つ。
すると、袖を倫太郎につかまれる。
「ジャージ」
「あ、ごめんこれしばらく貸して」
「え、なんで」
「虫除けに着てたい」
「勝手に虫除けに使うな」
しかし倫太郎はそのまま行ってしまった。
あれ、結局着てていいのかな?
…変なの。
私は首を傾げた後歩き出した。
684人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやね - 「離れ離れの1年ちょっと。」のところの角名君の出身地は、愛知県です!! (2022年11月2日 18時) (レス) @page4 id: 04b5e98dd0 (このIDを非表示/違反報告)
すなりんん - 涙が勝手に溢れてきましたごめんなさい「?」 (2020年4月22日 1時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - え、好きです (2020年3月24日 10時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 再び失礼いたします。完結おめでとうございます!!!!角名はやっぱ色気の塊ですね!えっrrr((素敵な推しをありがとうございました!治も楽しみにしております。がんばってください!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: a9c340b6bb (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - 完結おめでとうございます!!!やっっっっと結婚しましたね!!!←角名くんすきぃ……次回作も読みます!!!佐久早好きなの分かりすぎて泣…………サム楽しみにしてます!!! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるか | 作成日時:2020年3月8日 1時