身長差、0センチ【夜久衛輔】

帰還からのお揃い ページ9

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「何でウツミセンセーの自撮りなんだよ。リアクションに困るわ！」

『おかえり〜。たまたま近くにいたからついお願いしちゃった』

「笑ったからいいけどさぁ…はいこれお土産」

『えっ冗談のつもりだと思ってたから一応調べてたけど夜っくんに伝えなかったのに買ってきてくれたの…！？しかも食べたかったずんだ味のクッキーだし！』

「…まあ家族に買うついでだから、別に」

『ありがとう〜〜！』





GW明けの月曜日の朝練の後、他の部員より少し遅れて教室に向かう途中で男バレ3年生ズと遭遇して、夜っくんに宮城のお土産をもらった。

ルンルンで受け取ってしばらく箱を眺める。後で食べようかな。





「よく言うぜ。(人1)どんなの好きかなってずっと悩んでたくせに」

「おい黒尾バカヤロー」

「あでっ」

『ところで牛タン食べれた？』

「新幹線の時間に間に合いそうになくて食べれなかったよ。行きからずっとワクワクしてた山本はかなり落ち込んでたな」

『確かにそれはショック…』




海くんも食べたかったんだろうか。それとも山本くんを哀れんでるんだろうか。眉毛が少し下がっていた。


ふとその時、チャリ、と小さな音がして目をそっちに向けると夜っくんの鞄で何かが揺れていた。



『え、夜っくんの鞄についてる猫のキーホルダー可愛い〜！初めて見た！』

「あー、宮城のお土産屋さんに売っててさ。なんかビビッてきて買っちまった」

『伊達政宗の兜？被ってて可愛い！いいなぁ〜』





そんな会話をしていると、黒尾と海くんが部活についてあーだこーだと、私と夜っくんより数歩前に並んで語り始めた。




…背デカ。壁なんだけど。

そんなことを思ってると、グイッと肩に掛けてる鞄の持ち手を優しく引かれて。

振り向くと、夜っくんが目を泳がせて私の鞄の持ち手を両手でギュッと握りしめていた。





『…夜っくん？』

「…る」

『え？』

「あ、げる。(人1)に」





そのまま手のひらに押し付けられたのは、夜っくんのとは柄が違うけど、同じような兜を被った猫のキーホルダーで。





『…わ、たしの分も買ってくれてたの？』

「…前に見せてくれた、(人1)ん家で飼ってる猫に似てるな、って思って」

『…可愛い！ありがとう、私も鞄に付けようかな』

「……後悔しないならいいけど」

『？』





後に"それ夜っくんとオソロじゃね？"と黒尾にツッコまれることを知らない私は、

耳を赤くして向こうを向いた夜っくんの言葉を理解できずにいた。

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