角名くんに関西弁喋らせたい。【角名倫太郎】

誘引 ページ19

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「す、すすすすtstuなくん！！」

「須藤さん。変な発音混ざってたけどどうしたの」

「おっおっ、お…」

「ふふっ…え、なに？オットセイ？」

「ちが…！今日…い、一緒にお昼食べませんか！！！！」

「急に声でっか…」







2限後の休み時間、稲荷崎では何故かこの休憩がいつもより5分多めに取られとって、15分も休みがある。

友達とは何か？とまるで道徳の授業みたいな話を宮侑とした後、「とりあえず昼飯でも一緒に食うたらええんちゃうか」と少しゲッソリして言われたのやった。

いやハードルたっっか…！！と思うたけれど宮侑がうるさく「今日誘えや」と言うたから手足を震わせて汗ダラダラかきながら角名くんの元へ向かった。やっぱり推しが友達になるって難しいんちゃうかな？



あまりの緊張から角名くんの名前は噛むしオットセイやと間違えられるし声はでかくなるしで前途多難。お昼一緒に食べようって可愛く言いたかったんになんやコレは…！けどぷるぷる笑いで震えて口元を手で隠す角名くんがあざと可愛いからヨシってことにしておこ。(投げやり)








「須藤さんってお昼お弁当だっけ？」

「え"っ…うん、せやけど」

「なら今日天気いいし中庭行こうよ。俺購買でご飯買うし」

「あ、うん……え"っ！？ええの！？」

「いやだから声でか…いいよ」








4限終わったら迎えに行くね、と角名くんは笑って移動教室に行ってしまった。

その後ろ姿を手を振って見送った後、陸上選手もビックリするほどのスピードで教室に戻った。







「宮侑！！！！お昼！！！！さそ、さそ、誘えた！！！！」

「声でか！喧しいわ！！おめでとうな！！」

「えへへ、ありがとう…あと2時間の間に緊張で心臓出なきゃええんやけど」

「吐き気とか催すなや」

「そんなこと言われたら…う"っ、」

「オイフラグ回収やめろや！！！！袋を！！持て！！」







やっぱり前途多難や。


その時間が楽しみなようで、でも怖くて、早く時が過ぎてほしい自分とそうやない自分がせめぎあう。





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けどやっぱり、時は過ぎるのが早い。







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「須藤さん、お待たせ」

「ひゅ、イエ…！！待ってなどいませんでありますので…」

「何語なのそれ。じゃあ行こっか」

「よろしくお願いします…！」

「ん？よろしく…え、ご飯食べるだけだよね？」









天国のような、地獄のような。




行き先の分からない時間が幕を開けた。

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