俺の勝ち。 ページ33
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「じゃあね、(人1)。またいつでも東京においでね。忘れ物ない?」
「また来るよ!忘れ物は…多分ないよ大丈夫!」
「そう言って俺の家にいつも何か忘れてくのが(人1)だから信用ならないよ」
「うぐっ…もし見つかったら保管お願いします…」
「はいはい」
バスに乗り込む前、京治くんは私を見送りに来てくれた。
ぽんぽんと優しく頭を叩かれ、何だよ!と振り向けば京治くんは楽しそうに笑って、
するり。
私の肩を抱いた。
「いや、京治く、何、」
「…結婚しようか、(人1)」
「……はい!?」
帰る前に突然なんて事言うんだこの人は。
ぱくぱくと口が変に動いて、何から言えばいいのか分からない。
そんな私に、京治くんはクスクスと笑って、「可愛いね」と言った。はあ!?
「どっ、どどどうしたの京治くん、頭打った?変なもの食べた?い、いつもの京治くんじゃないよ!」
「心外だな…別に普通だよ?いとこだって結婚できるしさ」
「そりゃ、そう、だけど!」
「じゃあいいでしょ」
ね?と言う京治くんは本当に楽しそうで。
え、さっきまで普通だったのに急に京治くんに何が起きたの?と思えば、
突然腕を引かれて、ぽすりと誰かの胸にもたれかかる。
…この感じは、香りは、2回目。
「…だから、結婚はさせないって言ったじゃないスか、赤葦さん」
「とびお、」
「ほら行くぞ。赤葦さんも、次こそは負けませんから」
「それって試合のこと?それとも、」
「…もちろん、試合に決まってます。
こっちはもう俺の勝ちなんで」
ニヤリと笑って、飛雄は私の手を掴んだままバスの方へと早足で歩き出した。
「ちょ、待って飛雄!京治くん、じゃあね!」
「…はぁ。じゃあね、くれぐれも気をつけてね」
「?はーい」
飛雄は私に次いでバスに乗り込み、
当たり前のように私の隣に座った。
ブロロロ、とバスが出発して、
少し騒がしかった車内も、だんだんと静かになっていく。
さっきまで起きていた飛雄も、いつの間にか寝息を立てていて、
私はそっとその肩にもたれかかり、飛雄の顔を見る。
「(ふふ、まつげ長いなあ…目つきさえ悪くなければ完璧なのに)」
トクリ、トクリと心臓の脈打つ音が少しずつ速くなる。
…分かってる。
この感情の正体を。
「(…幼なじみ以上になりたい、なんて)」
なんて今更。
私は心の中で自分を嘲笑った。
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ましゅ(プロフ) - ヒェ〜〜〜最高すぎました〜〜〜はるかさんって、センスの塊なのもそうですけど、ツンデレを扱う天才ですよね!?!?京治くん挟むのも天才〜〜〜大好きです!! (2020年6月21日 17時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます!ギュンギュンしてくれたなら何よりです← 臣臣くんの小説ただいま執筆中なのでもう少しだけお待ちください〜!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» コメントありがとうございます!そこに気づけてもらえて嬉しいです…このシリーズ完結したらぼちぼち色々書くつもりでいるのでまた覗きにきて下さいね〜! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます!赤葦くん大好きなのでついつい導入させてしまうんですよね笑 はい!体調第一で頑張りますので佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてめっちゃ嬉しいです励みになります(^^) 佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月23日 23時