視線と流れだま。 ページ30
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「……」
「あの、ど、どうしたの?(人1)ちゃん…顔怖い…」
「仁花ちゃん…いや、私飛雄に何かしたかなーって思って…
昼休憩終わった辺りからずっとガン見されてるんだよね…」
「そ、それは…私には分かんないや。本人に聞くしかない、のでは…」
「だよねえ…」
合宿1日目はあっという間に終わった。
体育館はかなり暑いのに、皆はまだ自主練に励もうとしている。
さすが男子。体力あるなあ…
「おい、(人1)。自主練やるから手伝え」
「うわっ飛雄か!急に背後に立つのやめろ!」
「……」
「えっ何、黙んないでよ…」
今日の飛雄はやっぱり変だ。
試合以外の時、じーっとこっちを見て、パチリと目が合ったと思ったら視線を逸らされる、の繰り返し。
朝は普通だったのになあ…まあ試合中もいつもよりどこか意識が逸れてる感じしたけど。
「(…なーんて、他人の事言えないくらい、朝の出来事に私もドキドキしちゃったんだけど、)」
右手の手のひらを見つめて、反対の手でギュッと包み込む。
…飛雄に手を握られることなんて、今まで生きてきて何回だって、何十回だってあったはずなのに、
勉強会のあの一件から、何だか意識してしまうようになって。
「(飛雄はただの幼なじみ…憎い相手なのに、こんなドキドキするなんて…おかしい)」
全部はあの勉強会のせい、と悶々していると、
突然、飛雄のよく通る声が私の耳に入ってきた。
「(人1)!!あぶねえ!!」
「えっ、ど、わぁっ…!?」
また思いっきり腕を掴まれて、
ぽすりと飛雄の胸にダイブした。
その瞬間、私がさっきまでいた場所にボールが勢いよく飛んできた。
「あ、流れだま…」
「…おい、怪我してねえか?大丈夫か?」
「う、ん…平気、ありがと」
「ったく…ボサッとしやがって」
飛雄は私の顔をじーっと見つめた後、ニヤリと不器用な笑みを浮かべて、
私の頬をギュッとつねった。
「いだだだ、ちょ、パワー考えろバカ〜〜!」
「ははっ…悪くねえな、」
「何の話だよ〜〜〜」
「絶対言わねえ」
「またかよ!」
なぜか、飛雄の胸におさまったままで、
なぜか、飛雄は無邪気に笑っていて。
稀に見ないその笑顔と触れ合う温もりに、
私の心臓は、また速く脈打つのだった。
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「田中、ボール取ってきてよ」
「あの空気の中行かせるアンタ鬼っすか、スガさん」
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ましゅ(プロフ) - ヒェ〜〜〜最高すぎました〜〜〜はるかさんって、センスの塊なのもそうですけど、ツンデレを扱う天才ですよね!?!?京治くん挟むのも天才〜〜〜大好きです!! (2020年6月21日 17時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます!ギュンギュンしてくれたなら何よりです← 臣臣くんの小説ただいま執筆中なのでもう少しだけお待ちください〜!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» コメントありがとうございます!そこに気づけてもらえて嬉しいです…このシリーズ完結したらぼちぼち色々書くつもりでいるのでまた覗きにきて下さいね〜! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます!赤葦くん大好きなのでついつい導入させてしまうんですよね笑 はい!体調第一で頑張りますので佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてめっちゃ嬉しいです励みになります(^^) 佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月23日 23時