側にあるものほど。 ページ29
.
影山side
いつも近く、側にあるものほど、大切だと気づきにくい。
握った(人1)の手はあまりに小さく、脆く。
簡単になくなってしまいそうだと思った。
.
「まさか俺がバレー以外のことで影山の相談にのるなんてな〜」
「菅原さんしか思いつかなかったんで…」
「え、そう言われると照れちゃうな〜！よしよし、先輩が何でも答えてあげるからどんとこいッ！」
「…面白半分じゃないっすよね？」
「大丈夫大丈夫！真剣に聞いてやるぞ〜」
合宿1日目の昼休憩に、俺は菅原さんを呼び出した。
バレーのことじゃないんですけど、とおずおずと聞く俺に、
菅原さんはにこやかに笑っていいよ、と言ってくれた。
「…で？どうしたわけ？確かに今日の試合もどこか意識が逸れてるみたいだったけど…」
「…(人1)と赤葦さんって、仲良いじゃないすか」
「まあいとこだしなぁ」
「…何だか、仲良さそうに喋ってるの見るとイライラするんです。
いとこだから仕方ないって思いたいのに思えないし、赤葦さんが本気でいとこは結婚できる、って言ってないのも分かってるんです。
だけど、(人1)はいつも俺の隣にいたから、それが当たり前になって…離れて欲しくないって思うんすよ」
空を見上げながらそう言う俺に、
菅原さんは穏やかに口を開いた。
「…それはな、影山」
「はい」
「…きっと、恋だ」
ぶわりと強く風が吹いて、俺と菅原さんの髪が大雑把に揺れる。
違う、と言いたいのに何故か言えなくて。
代わりに口から出たのは、『こい、』の掠れた2文字だった。
「他の男に光藤さんを取られたくないんだろ？ずっと側にいてほしいんだろ？
無意識に、光藤さんが好きなんだよお前は」
「…幼なじみとしての好き、ではなく？」
「きっとそれもあると思うけど、それだと赤葦と立ってる位置は変わんないと思うよ」
そう言われても、どこか少し不安だった。
俺らの関係は、少し歪だから。
「…まだ曖昧でふわふわしてるので、ちょっと考えてみます。また相談のってください」
「え、もうおしまい？まあいいけどさ。
…まあ何というか、頑張れよ、影山」
「…はい」
まだ、認めるには早いと思ったのだ。
中途半端な感情では、(人1)を傷つけるかもしれない、と。
「…つついづつ」
なぜか、ふいにあの話を思い出して、
俺は無意識にその名を口にしたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 819人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅ(プロフ) - ヒェ〜〜〜最高すぎました〜〜〜はるかさんって、センスの塊なのもそうですけど、ツンデレを扱う天才ですよね！？！？京治くん挟むのも天才〜〜〜大好きです！！ (2020年6月21日 17時) (
レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！ギュンギュンしてくれたなら何よりです← 臣臣くんの小説ただいま執筆中なのでもう少しだけお待ちください〜！(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» コメントありがとうございます！そこに気づけてもらえて嬉しいです…このシリーズ完結したらぼちぼち色々書くつもりでいるのでまた覗きにきて下さいね〜！ (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます！赤葦くん大好きなのでついつい導入させてしまうんですよね笑 はい！体調第一で頑張りますので佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね！(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえてめっちゃ嬉しいです励みになります(^^) 佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね！ (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるか
| 作成日時：2020年5月23日 23時
