ギクシャクし始める2日目。 ページ23
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「__ギュン!の方の速攻、俺、目ぇ瞑んの、やめる」
衝撃がはしったのは、合宿2日目のことだった。
1試合目の音駒戦。
前回のGW合宿にいなかった、音駒高校の1年のリエーフくんが、変人速攻をブロックした。
犬岡くんといい、リエーフくんといい、音駒は恐ろしいなあ…と私は呑気なことを考えていた。
でも日向くんは違った。
今のままじゃダメだと、身長の高い相手にも勝てる武器が欲しいと、
負けた悔しさをバネに、先を見据えようとしていた。
…でも、飛雄はいい顔をしなかった。
「…今すぐお前がそれをやるっつうんなら。
ミスると分かってる奴にトスを上げるつもりはねえ」
まるでそれ以上の話は終わりだと言うように、
飛雄はそれだけ言って日向くんに背を向けた。
結局その後2人はギクシャクして喋ることもなく、
先輩達も、日向くんに現実を突きつけられた、と少し焦っているようだった。
「(人1)、また再来週ね」
「京治くん…うん、またね」
「…元気ないね」
「まあね…」
2日間の合宿が終わって、バスに乗り込もうとした時、
見送りに来た京治くんが私の頭を撫でる。
「…まあ、こればっかりは、本人達の問題だからね」
「うん…」
「けど、側にいることをやめちゃダメだよ」
「え?」
「…きっと、影山が変わるには、(人1)が必要なんじゃないかな、って俺は思うから」
京治くんはそう言って、どういうこと?と私が聞き返す前に、
ホラ早くバス乗りな。と背を押した。
結局京治くんの言葉の意味が分からないまま、バスは出発して。
互いに反対を向いている飛雄と日向くんにモヤモヤしながら、
静けさを含んだバスは、夜に宮城に戻ってきた。
武田先生の言葉の後、帰宅する先輩達とは反対に、
日向くんは飛雄にトスを上げてくれと頼み込んだらしく、体育館に明かりが灯る。
「うげえ、まだやるの…」
「少しだけだ」
「君らの少しは少しじゃないでしょうに…」
それでも夜道は危ないから待っとけ、と飛雄に言われ渋々待つ。
仁花ちゃんも練習に付き合う、と言ってボール出しをしていた。
「…もう一本!」
日向くんは目を瞑らずに打つ、というのを繰り返していた。
けれど、ボールに気を取られてMAXのジャンプにならず、手に擦りもしなかった。
「…いい加減にしろよ、」
そんな日向くんの様子を見て、
飛雄はポツリと言葉を漏らした。
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ましゅ(プロフ) - ヒェ〜〜〜最高すぎました〜〜〜はるかさんって、センスの塊なのもそうですけど、ツンデレを扱う天才ですよね!?!?京治くん挟むのも天才〜〜〜大好きです!! (2020年6月21日 17時) (レス) id: 01c5a5310c (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます!ギュンギュンしてくれたなら何よりです← 臣臣くんの小説ただいま執筆中なのでもう少しだけお待ちください〜!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» コメントありがとうございます!そこに気づけてもらえて嬉しいです…このシリーズ完結したらぼちぼち色々書くつもりでいるのでまた覗きにきて下さいね〜! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます!赤葦くん大好きなのでついつい導入させてしまうんですよね笑 はい!体調第一で頑張りますので佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね!(^^) (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてめっちゃ嬉しいです励みになります(^^) 佐久早くんの小説楽しみにしててくださいね! (2020年6月17日 17時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月23日 23時