静かに、火花を散らす2人。 ページ6
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「(人1)達もこっち来たんか」
「おん、面白い北を見よう思うて来たんに何やねんその綺麗すぎる食べ方は…」
「犬飼さんのその顔の方がおもろいわ〜」
「赤木くん失礼すぎるんやけど?」
私達の会話を気にする様子もなく、背筋を伸ばし、まるでお手本のような所作で箸をすすめる北。
ホンマ完璧やなこの人…
私とさきちゃんは隣のテーブルに座った。
「いただきます」
その言葉とともに、両手を合わせ箸をとる。
照り焼きハンバーグを口に含めば、甘辛いソースの味が口いっぱいに広がる。
あぁ、美味しい。幸せ…
ふふ、と笑いながら大盛のご飯を口に入れれば、横から視線を感じる。
それは、北からだった。
「…?なに、北」
「美味そうに飯食うな思うて。治みたいや」
「治…?あ、双子の?」
「せや。あいつもそんな顔して飯食いよるわ」
ふ、と柔らかく笑われて、顔をまじまじと見られていたことに恥ずかしくなった。
…とりあえず、今度治くんとやらに会えたら飯談義でもしよう。
「犬飼、飯好きなんか?」
「せやね。食べるん大好きやな。こう見えてたくさん食べるし。な、練!」
「おう。信介、(人1)は治と同じくらい食うからな」
「ほぉ…どこにそんな入るん?…不思議やな」
「興味湧いとるん分かるけどそんな見んといてや…」
私を見る北の眼差しは、どこかキラキラとしているように見えて。
珍しいな、と思う反面少し照れくさかった。
「なんや美味そうに食うとこ見るとええ気分なるな」
「そう?照れるわ」
「なあ、嫌いなモンとかあるんか?」
「あ、信介…」
嫌いなモン、という言葉に固まる私を見て、
何かを察した練が慌てて声をかける。
なぜか。
「…大豆と、豆腐は嫌いやねん。
今、北が食べとるその豆腐ハンバーグも」
その言葉に、今度は北が固まった。
ジッ、と私を見つめる。
「…ホンマに?」
「ホンマや。豆腐ハンバーグ好物やったらごめんな」
「思いっきり好物やねんけど」
冷ややかな空気が流れる。
信介、(人1)、と練がオロオロしだすけどお構いなし。
「…美味いやんか」
「いや豆腐と合わせる意味わからん」
「…分かっとらんな」
「そっちこそ」
お前とは気合わんわ、と北がこぼす。
こっちもじゃ。
こうして私達は、
静かに火花を散らし始めたのであった。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時