永遠に敵わない。 ページ48
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「おーっす、練!」
「卒業式ぶりやな、練」
「…おん。お前らも仲良さそうで何よりやわ」
卒業式から一週間後。
私と練は受験した大学におった。
合格発表を見にきたのだ。
北はなぜか俺も行く、といってついてきただけなのだけど。
「緊張する…」
「大丈夫やろ。まあアカンかったら頬つねったるわ」
「は?そこは慰めるやろ!なあ練、」
「俺にふるなや…」
学部の違う練は、俺こっちやから、と別の方向に行ってしまって。
私と北で、医学部の合否の掲示板の前に立つ。
隣は農学部らしい。
「何番?」
「705番…」
「んー…あ、あったわ」
「え!ホンマ!?あ!あった!やったー!」
「ちょお喧しいわ…鼓膜破れる」
「破れへん!」
私は嬉しさと安堵のあまり北に飛びついた。
冷たいことを言いながらちゃんと頭を撫でてくれる優しさがあることも知ってるから。
「(人1)、おめでとうな。喧しいで。俺の学部のとこまで叫び声聞こえとった」
「ありがとう!ごめんね…練は?」
「合格や」
「おめでとう!もはや何年目の一緒の学校…あれ、北?」
いつの間にか私を抱きしめていた北がいなくなって、
見れば、なぜか農学部の合否の掲示板を見とった。
「北?何見とんの?」
「何って…番号」
「いや誰の?」
「俺のに決まっとるやろ」
「…は?」
北の手には確かに農学部と書かれた番号の紙が握られとって。
あったわ、と掲示板の同じ番号を指さした。
「…と、いうわけで。またよろしくな」
「え、信介もか」
「おん。こっそり受験しとった」
「言うてや…」
私は心の中で思った。
二度と会えんような気とは一体何やったんやろうか、と。
「(まあ、結局先に告白されたからええけど…)」
「…そういや信介、」
「なんや」
「…(人1)のこと、絶対幸せにしいや」
そう言った練に、北は当たり前や、と続ける。
「(人1)がばあちゃんになった時に俺で良かった、って言わせたるし」
「待って今すごいこと言わんかった?」
それって、まるで。
北はそんな私の表情を見て、意地悪く、笑った。
「ばあちゃんが俺の結婚式楽しみにしとるからな。あと孫も」
「けっ…!?ま、!?」
「ふふ。今から楽しみやなぁ、(人1)」
そっと、耳元で囁いて、
するりと左手の薬指をなでるこの人に、
やっぱり私は、永遠に敵わないのだ。
fin.
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時