ツバキの花言葉。 ページ46
.
連れてこられたのは、中庭。
その奥に、誰も知らないような細い道があって。
そこをズンズンと進んでいく。こんな場所、3年間通ってたのに知らなかった。
すると北の足がピタリと止まる。
そして、見てみい、と上を指す。
そこには、
「ツバキ…?」
「おん。今が時期やねん。赤、白、ピンク…綺麗に咲いとるやろ?」
「うん…中庭の奥まったところにこんな場所あるなんて知らんかった」
「俺もこの前知ってん。こんな綺麗な花咲かせるんに誰にも見つからんなんて悲しいけどなあ」
さて、と北は呟いて、
私の方に向き直る。
何を言われるんだろう、って。
いつもと何一つ表情が変わらない北に、私は戸惑っていた。
「…ツバキの花言葉、って知っとるか?」
「え、誇り…とかやったよな?」
「よお知っとるやん。けど実は西洋の意味もあってな、」
北は私の手を優しく包んで、目を覗き込む。
あぁ、やめてほしい。
期待してしまうから。
…もしかしたら、北が今から述べる言葉が、私の聞きたい言葉なんじゃないか、って。
自惚れてしまうから。
そんな私に、北は微笑んで口を開く。
「色ごとに意味があってな。
白のツバキは、loveliness. 愛らしい。
ピンクのツバキは、longing. 恋しく思う。
…そして、赤のツバキは、」
途端、北がポケットから赤のツバキがあしらわれた髪飾りを取り出して、
スッ、と私の髪につけた。
「You’re a flame in my heart.
"あなたは私の胸の中で炎のように輝く"。
…お前のことが、心から好きや。(人1)」
ぎゅっと胸が締め付けられるような、
時が止まったような、
わけのわからない感覚に、私は混乱して。
信じられなくって、ほっぺたを思いっきりつねった。
めちゃくちゃ痛い。
「ほ、んとう…?」
「本当や」
「私のこと、好きなの…?」
「おん。こうやってギザな告白したなるくらい、お前のことが好きや」
私はその言葉に、夢じゃない、って悟って。
涙を溢れさせながら、
北の胸に、思いっきり飛び込んだ。
私の、大好きな温もり。
温かくて、大きくて、いい香りがして。
いつも、この温もりに励まされてきたんだ。
「きた、」
「うん?」
「私の…私の、気持ちも、聞いてくれる…?」
北は私の目尻の涙を指でなぞりながら、ええよ。って笑った。
言える、大丈夫。
「…私も、北が好き」
821人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時