春と呼ぶにはまだ早い。 ページ45
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桜はまだ咲かない。
春と呼ぶにはまだ少し早い3月の初め。
「さきちゃん…そっちの大学でもバレー頑張ってな」
「おん。アンタも色々頑張りや」
「……やだ〜〜っ、お別れしたくない〜〜!」
「私も〜〜っ!」
卒業証書を握りしめたまま、
さきちゃんと抱き合ってわんわん泣く。
この日は卒業式やった。
私達、3年生の。
センター試験も個別試験も無事に終わって、後は数日後の合否発表を待つだけの私はとにかく卒業しても不安しかないけど。
「そいえば大耳くんは同じ大学志望なんやっけ」
「おん…学科違うけどな。また同じか!ってツッコんでもうたわ」
「…北くんは?」
「…それが聞いても教えてくれんかったんよ」
つま先で目の前にあった小さな石ころを蹴飛ばす。
はあ、と吐いた息は白くなって消えた。
「(人1)さんッ!」
「卒業おめでとうございます!」
「おー、双子。ありがと。
…あ、ネクタイあげよか?私のサインとおにぎりイラスト入り」
「「いります」」
「食いつき良すぎ」
私のネクタイ一本で喧嘩になりそうやったからあげるのはやめた。
私は笑って、2人の頭をなでる。
「インハイも、春高も。観に行くからな。侑くん主将やろ」
「はい」
「…きっと、たくさん悩むやろうけど。大丈夫やで。誰かが頑張っとるのを見とるから。自信もちや」
「…北さんにも同じこと言われましたわ」
「あはは。先越されたかあ…治くんも、喧嘩ばっかせんと侑くん支えてやってな」
「…それも北さんに言われました」
「あちゃあ…」
どうやらアイツと考えることは一緒らしい。
少し誇らしく思いながら、私は空を見上げた。
「…侑くん、私な、今日北に告白するわ」
「え!?まじすか!おめでとうございます!」
「は?」
「いえ…何もアリマセン」
「ツムのアホ…」
「何やと!?」
なんかよう分からんけど始まった言い争いに笑いながら口を開く。
「きっと、今日逃したら二度と会えんような気して…それなら振られてスッキリしたい思うて」
「振られる前提すか」
「やって、北が私なんかを、 」
その時、誰かに勢いよく腕を掴まれて。
振り向けば、
「っはあ…探したわ、(人1)、」
「北…?わ、ちょ!」
「すまん、ちょおこいつ借りるな、」
「どうぞ〜」
強引に、どこかに引っ張られる私。
双子とさえちゃんが、ニヤニヤしているのが謎だった。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時