幼なじみの言葉。 ページ43
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どよめく会場。
落胆する応援団。
そりゃあそうや。
優勝候補って言われとった稲荷崎が負けたんやから。
日向くん・影山くんコンビの"変人速攻"を咄嗟に武器として真似できる双子は凄かった。
…のに、最後。
まるでその速攻を読んでいたかのように、
本人達に止められたのだ。
私には分からないけど、
きっと、そこには何か理由があるのだ、と思った。
ありがとうございました、と選手が挨拶に来て、
私は2階から拍手を送る。
「おつかれさま、」
小さく呟いた私の声は、拍手の音で聞こえんと思う。
けれど、何となくだけど、口からその言葉が出ていた。
「負けてもうたんやなぁ」
「…はい」
「でも、信ちゃんの最後の試合、見れて良かったわ」
カッコ良かったやろ?って私にわざとたずねるおばあちゃんに、
はい。と頷く以外に選択肢はなかった。
「…さきちゃん、」
「うん…分かっとるよ。北くんのおばあちゃんは私が側におるから、大丈夫」
「…ありがとう、」
私は立ち上がり、さきちゃんとおばあちゃんに頭を下げて、会場を飛び出した。
きっと、私が言えることなんてないかもしれんし、
そもそも声すらかけてほしくないかもしれん。
それでも、伝えたいことがあって。
受け止めて、ほしかった。
「(あ…おった、)」
「…俺にとって「
どや俺の仲間すごいやろってもっと言いたかったわ」
「!!」
侑くんや尾白くん達に話しとる北の声は、
凛としているのに、どこか弱々しくて。
「(…あぁ、やっぱり北も、
ぐっ、と唇を噛み締めてその様子を影から見つめていると、
練と、目が合った。
「(人1)…お前、おったんか」
「うん…黙っとってごめん。てか北に聞いとらんの?」
「え、信介知っとったんかお前」
「おん。試合前に会うてな。言おうか思うたけど試合始まるしやめといた」
練は北の言葉にそうか、とだけ返して、
私の頭を優しく撫でた。
「負けてもうたわ」
「…見とったから知っとるし。ブロックなかなかに怖かったで」
「せやなあ…調子良かったんになあ」
「練、」
「…(人1)がおらんだらここまでバレー続けれんだと思うわ。やから、ありがとうな」
そう言って、私の手を優しく包み込んだ。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時