好物頂上決戦【北 信介】

きっと、あなたのおかげ。 ページ42

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ファイナルセット。


一進一退の攻防が続く。








「フォロー！！」

「ブロック3枚！！」






「(凄いハイレベルやな…これが2回戦であることが悔やまれるくらい)」





侑くんも、きっと影山くんのセットに感化されとるんか、

いつもの試合より集中力が増しとるように見えた。




ハイレベルな戦いを繰り広げとるのに、

互いのトスはどこまでも美しく、好戦的。相手に読ませないセット。






「(侑くんも、影山くんも…まるで、天才や)」




きっとここまで来るには血の滲むような努力や葛藤があって、一概に"そう"やと思うたらアカンのやろうけど、

それでもギラついた目を見ると、思ってしもうた。







そしてセット終盤、再び北がコートに入って。



噛み合わんかった双子の速攻をフォローした時は、

私はまた、拍手を送るほかなかった。





フォローを捨てて攻撃に挑む烏野。

きっと、私達にも、北にも理解できんと思う。




それでも、きっと。

戦いのコンセプトは、おんなじだ。






「(…点を獲ること、少しでもミスをカバーして失点を減らすこと…

磨き上げて、積み上げてきたそれは、殴り合っても変わらんほど、強い)」








「…おばあちゃん、」

「ん？」

「…ごめんなさい、やっぱり私と信介くんは仲良うないです。

私のくだらん理由でよう言い争いするようになってしもうて。きっと私のこと苦手やと思います。




けど、信介くんのことは、同じ主将として、

…1人の人間として、きっと、誰よりも見続けてきたつもり…です」






私の言葉に、おばあちゃんは『きっと、信ちゃんも同じやと思うわ』と言った。








「信ちゃんは、あなたが見続けてくれとること、ちゃあんと分かっとるよ。

ほんで、もう言い争いのことなんて気にしとらんと思うわ」


「え…？」






「やって最近の信ちゃん、えらい楽しそうやもの」




きっと、あなたのおかげやね、って。

おばあちゃんは優しく笑った。









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取って取られて、を繰り返して、


30-31。

会場は熱気に包まれていた。






白熱するラリーに、

終わって欲しくない、って思うたのは私だけか。






そして。



ドッ、とコートにボールが落ちたのは、







稲荷崎の、コートだった。






ピーッ、と耳をつんざくような笛の音に、




私は何かに縛られたように身動きが取れなかった。








ああ、負けたんだ、と。



また、呆気なく思っていた。

幼なじみの言葉。→←北信介という男。

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