北信介という男。 ページ41
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1セット目は烏野に取られた。
2セット目は、侑くんのサーブや角名くん、尾白くん、治くんのスパイクがよお決まりはじめて。
点差がついてきた!って思うてたら、
ミスが重なって、嫌な流れになり始めた。
そんな時、稲荷崎の選手交代。
「あ…」
「北くん、出てきたな」
尾白くんと代わって、背筋をピンと伸ばした北がコートに入った。
私は咄嗟におばあちゃんに声をかける。
「ばあちゃん見て、信介くん出てきたで」
「ほんま?どこ?」
「ほら、あの1番のユニフォーム着とる人」
「あらあら…ほんまや、信ちゃんや」
コートを見れば、何やら2年生たちが震え上がっとって、
ああ、正論パンチ喰らっとるんやなぁ…と苦笑いしてしまう。
「(きっと、みんな今北が入ったことによってピリピリしよる)」
北のサーブは、後衛セッターが出てくる動線へ。
いいところだ。
レシーブは乱れるも、稲荷崎のブロックの手を弾いてコート後方へ。
…を、北が繋ぐ。
まるで、そこにボールが来るのを知っていたように。
烏野にチャンスボールがまわって、
シンクロ攻撃、今度こそ決められると思った。
「…それも、拾うねんなぁ…アンタは」
拾って欲しい、ではなく、
絶対に拾う、って思うた。
練習でできとることは、
本番でも当たり前にできる。
絶対にしくじらない、自信がある。
『後ろにおると、安心できるんや』
仲間も、知っている。
だから、驚かない。
『この人なら拾う』
きっとみんな、そう、信頼している。
派手でもない。トリッキーなプレイをするわけでもない。
ただ、丁寧に、慎重に。
仲間が、最大限の力を発揮するように、
その背中を、押して、見守る。
「( __それが、"北信介"という男)」
前に、北に『お前は天才ちゃうけどバケモンやな』って言われたのを思い出した。
私には天才もバケモンも、違いがよう分からんし、今でも分からんけど、
それでも、思うとすれば。
「(違いも意味も分からんけど…きっと、アンタもバケモンやと思うで、)」
銀島くんに、ナイスキーと微笑みかける北を見て、
私は自然と拍手をしていた。
敵わない、と思うた。
第2セットは稲荷崎が取って、
勝負は、ファイナルセットに持ち越された。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時