まるで、鳥。 ページ40
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「お!アンタら見たことあると思うたら…女バレの子やん!」
「あ、はい…その節はありがとうございました」
「学校の応援団のほうちゃうの?」
「あー、行くって決めた時にはすでに応援の募集締め切られてもうて…個人的にきました」
「さよか〜…あ、ばあちゃんここ座りや」
北のおばあちゃんと一緒に席に向かえば、
インハイの時にお世話になった応援団のおっちゃんに声をかけられた。
近くには吹奏楽部とかチアとかおって、男バレのアップの姿を見て盛り上がっとった。
特に、宮兄弟を見て。
ハイスペックやもんねぇ…とパンフレットを開きながら思い、相手を確認する。
「烏野高校、やって」
「どこ?」
「宮城」
「ふーん…あ、あの眼鏡の子MB?背高いなあ…」
「190センチやって。練と一緒くらい」
「でっか…」
さきちゃんは眼鏡のMBが気になったみたいやけど、
私はセッターの子を見ていた。
「(かげやま、とびお…あ、侑くんがユースで気になるセッターおった!って言うてた子や…1年生、)」
その時、審判の笛の音が鳴って、ハッとする。
どうやらアップが終わっていよいよ試合が始まるらしい。
「なんや、緊張してきたわ…」
「アンタが緊張してどないすんねん…」
「分かっとるけどお…」
吹奏楽部の演奏が鳴り響いて、
侑くんのサーブから、試合が始まる。
「(6歩…スパイクサーブ…)」
侑くんがグッと拳を出せば、
まるで指揮者のように止まる演奏。
静まり返る会場に、
私の胸は逆に躍った。
ドオッ、と物凄い勢いで放たれるサーブは、
コートの後方、ラインギリギリに落ちる。
「うっわ…えぐ、」
「ホンマやな…ばあちゃん、大丈夫か?」
「大丈夫や。最近の若い男の子はえらい力持っとられるんやなあ…すごいなあ…」
「せやねぇ、」
最初からサーブの攻防が凄くて、男子怖いなあ…って思うてたら、
前衛に、オレンジ色頭の、小さい子が入ってきた。
慌ててパンフレットをめくる。
「日向翔陽…MB…162センチ!?」
「え、あの子MBやったん!?…いや、そもそもスタメンやったんか…」
途端、ふわりとその子にトスが上がって、
「…飛ん、だ…」
あの子より身長のある私よりも、高く。
まるで、鳥のように。
「(…あぁ、私が、なりたかった光景だ)」
…打つの忘れた、って衝撃的な言葉が聞こえたけれど。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした!シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした!あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます!語彙力!笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます!大丈夫ですか生きてください…!ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ!読んでくださいね! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます!いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます!最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年5月3日 22時