落とし物と頬の熱。 ページ34
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春高の県予選。
男子バレー部は余裕で勝ち進み、春高への出場が確定した。
治くんは調子悪くて出とらんだみたいやけど、
それでも難なく勝ち進んでしまう男バレの強さに私は改めてバケモンや、と思った。
とりあえず北に会うた時におめでとう、と少しぶっきらぼうに言えば、
キョトン、とした顔をした後に『犬塚が素直やから明日は雪やろうか』と淡々と言われた。
祝福の言葉を述べただけなのにこの言われようとは。
私は少し複雑な気持ちになって、『祝福くらい素直に受け取れやアホ』と、北の肩を軽く叩いた。
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11月になると、纏わりつく空気は冷たくて、ぶるり、と身体を震わせる。
勉強の為に夜まで学校に残っとるから尚更寒い。
「そや、ココア買って帰ろ」
玄関に向かっていた足をくるりと翻して、
体育館の横にある自販機に向けて歩き出した。
もうすぐ19時になる。
暗くなるのもだんだん早くなってきたから、部活も早く終わるらしい。
体育館の電気は消えていた。
部室棟の方からはまだ笑い声が聞こえるから人はいるのだろう。
私も暗いし早く帰ろ、とココアを買って手にした時、
何か柔らかいものを踏んだ。
「えっ、何…布？」
よく見てみると、それはタオルだった。
何でこんなところにタオルが、と少し不審に思いつつ、拾い上げる。
幸いにも名前は書いてあって、
『みやおさむ』とでかでかとした字が並んでいた。
「…いや、ひらがなって小学生か」
誰も聞いてないのに1人でツッコミを入れて、
まだ部室に治くんおるかなあ…と思いつつそこへ向けて歩き出す。
まあおらへんだら明日でもええか、と呑気に考えながら男バレの部室の扉をノックして、
やけに静かなのが気になったけど、返事を聞く前に開けた。
「治くんおる……か…え！？」
「なんや犬塚か。治なら帰ったで」
「え、あ、そう…」
そこには北しかおらへんかった。
けれど、
「…な、なんで半裸なん、」
「お前が着替えとる時に入ってきたんやろ」
「あ…そ、か…ごめん、出てくわ」
鍛え抜かれた上半身をまじまじと見てしまって、
私は頬に熱を感じながら、これ明日治くんに、となるべく北を見ずにタオルを渡した。
「…犬塚、」
「ん？ぉわっ、」
途端、腕を掴まれて。
私の身体は北によって、ロッカーに押し付けられた。
ココアの缶が床に落ちる音が響いた。
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ミカ(プロフ) - 本当にこの作品を読んでいる時間が最高でした！シリーズの中でこのお話が一番好きだなって思いました。花言葉で心情の変化をを表したりするところ、流石です!!!セリフ一つ一つに深い意味が込められていて素敵でした！あと、私も北信介って名前の響き好きです(笑) (2020年5月25日 21時) (
レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» ありがとうございます！語彙力！笑 嬉しいですありがとうございます^ ^ 出来たので是非読んでみてください〜！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» ありがとうございます！大丈夫ですか生きてください…！ふいに北さん花絶対似合う、って思ったら調べるのにめちゃ時間かかって後悔したんですけどね(・・;) 影山くんの小説もぜひぜひ！読んでくださいね！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - チベットさん» ありがとうございます！いや小説出すほどのレベルじゃないですまじで笑 実は名前にも意味があるんです、キタキツネの天敵は犬らしいので…^ ^ 影山くんの小説でも探してみてくださいね (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 虹華さん» コメントありがとうございます！最後の告白のところは実は書き始めたときからもう決めてました笑 意外とギザな告白好きそうだなって…笑 影山くんの小説もぜひぜひ読んでくださいね^ ^ (2020年5月24日 22時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年5月3日 22時
